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<翻弄 リコール不正の陰で> (中)表現した人 分断、芸術論置き去り

2021年5月2日 05時00分 (5月6日 21時07分更新)
リコール運動の発端の一つとなった映像作品を手掛けた大浦信行=神奈川県内で

リコール運動の発端の一つとなった映像作品を手掛けた大浦信行=神奈川県内で

 会心の手応えだった。「ものを作る原点に立ち戻ったような、好奇心を持って何かをやった子どもの驚きと喜びみたいな…」。美術家で映画監督の大浦信行(72)が遠い目で振り返る。二〇一九年の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」に出した映像作品を仕上げたときのことだ。
 「遠近を抱えて Part2」。昭和天皇の肖像入りコラージュ版画を焼いたり、残り火を踏んだりする場面が一部にあり、あいトレ実行委員会の会長を務めた愛知県知事・大村秀章リコール運動の発端になった作品の一つだ。「侮辱」「反日プロパガンダ」と日本中に物議を醸した。
 本人は「短絡的」と首をかしげる。「『けしからん』という意見や批判は当然あっていい。でも『なぜ燃やすのか』と、なぜ考えないのかな」
 いわく、一九八〇年代に手掛けたこの版画は大浦自身が当時抱えていた「内なる天皇」を反映した「自画像」で、三十年以上を経て燃やしたのは一連の作品を「昇華」させるためだった。「天皇批判のために燃やすなんて幼稚すぎる。そんなものは表現ではないので」
 実は、企画展の実行委が大浦に出品を求めたのは、かつて富山県立近代美術館(現富山...

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