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カレンブーケドールは生粋のステイヤー!?「ミオスタチン調節遺伝子」は何型か “遺伝学的”な手掛かりを紹介しよう

2021年4月30日 06時00分

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調教するカレンブーケドール(右)

調教するカレンブーケドール(右)

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 近年の長距離戦は番組数が圧倒的に少ないため、参戦馬の大半が「距離未経験」ということになりやすい。今年の天皇賞・春は例年よりはステイヤー色の強い馬がそろったが、それでも3000メートル以上は未経験という馬が4頭もいる。未知の距離への適性を考えるアプローチは主に2つ。体形からの力学的考察と、血統的考察だ。今回は、有力伏兵について、血統論からより一歩進んだ、遺伝学的な手掛かりを得たので紹介する。カレンブーケドールは遺伝学的にステイヤー色が強い。
 距離適性に関連する遺伝子として、馬では「ミオスタチン調節遺伝子」がよく研究されている。「ミオスタチン」とは筋肉が過剰に発達しないよう抑制する因子だが、複数の動物で、これが壊れて筋肉過形成が起こる品種が知られている。例えば牛では「ベルジャンブルー」という肉牛が典型だ。遺伝的に正常なミオスタチンがつくられないために、筋肉の発達にブレーキが利かず、トレーニングとは無関係に筋肉隆々の体つきになる。1頭あたり赤身肉が多く得られる。手元に写真がないので恐縮だが「ミオスタチン関連筋肉肥大」などで検索すると、直観的にも分かりやすい画像がたくさんヒットするはずだ。
 馬で知られている遺伝子変異は発現量調節に関わるものなので、ベルジャンブルー牛のような極端なことは起きないが、ミオスタチンが正常に発現する「T型」と、ミオスタチンの筋肉発達抑制効果が小さくなる「C型」の対立遺伝子が知られている。遺伝子は2つ1組なので、遺伝子型としては「T/T型」「T/C型」「C/C型」の3種類がいる。Cが多いほど筋肉質なスプリンター。Tが多いほど、スラリとしたステイヤー傾向が強くなる。
 カレンブーケドールは実績的はステイヤーよりだが、勝ちきっておらず、体格も牝馬としてはそこそこ大きめ。「T/C型」なのか「T/T型」なのか外見的には見当がつけづらい。今回、関係者筋から「T/T型」との証言を得た。これで根っからのステイヤーだと確信が持てる。

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