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【石川】時短開始 試練の14日間 来月11日まで 県内飲食 21時閉店

2021年4月29日 05時00分 (4月29日 11時22分更新)
時短要請に従い客を見送る居酒屋の店長(左)=28日午後8時57分、金沢市木倉町で(吉岡広喜撮影)

時短要請に従い客を見送る居酒屋の店長(左)=28日午後8時57分、金沢市木倉町で(吉岡広喜撮影)


 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、石川県内全域の飲食店に対する営業時間短縮の要請が二十八日夜、始まった。五月十一日までの十四日間、午後九時から翌午前五時までの営業自粛(酒類提供は午後八時まで)を求めている。対象は食品衛生法に基づく営業許可を受けた飲食店で、カラオケ店やバーも含む。全期間応じた店には事業規模に応じて三十五万〜二百八十万円の協力金を支払う。
 県による飲食店への時短要請は昨年四月の緊急事態宣言時を含めて今回が三度目。午後九時以降、店に客がいる場合は時短の要請に応じたとはみなさないが、店で客が飲食せず、デリバリーやテークアウトに限る営業はできる。もともとの営業時間が午前五時〜午後九時の飲食店は完全休業や時短を行っても協力金の支給対象にはならない。
 時短要請の対象は約六千店、一日当たりの協力金は平均四万円とみて県は支給総額を三十五億円と推算し、二十八日に同額の一般会計補正予算を専決処分した。三十五億円のうち八割の二十八億円は地方創生臨時交付金、残る七億円は県の財政調整基金を取り崩して充てる。
 協力金の申請は時短要請終了後の五月中旬から受け付ける予定。協力金に関する電話相談に応じる県のコールセンターには二十八日も四百二十件の問い合わせがあった。問い合わせは午前九時〜午後六時に、同センター=電076(225)1920=へ。

 店主ら苦渋の決断

◇協力「知らぬ顔できない」

◇営業継続「給料払えない」


 新型コロナウイルス感染拡大の「第四波」を受け、二十八日夜から始まった石川県内の飲食店に対する営業時間の短縮要請。県内全域では一年ぶり二度目となる。応じる店も、給料を払うためと営業を続ける店も「やむをえない」と苦渋の決断を迫られ、夜の街には閉塞(へいそく)感が漂った。
 午後九時、県が求める営業自粛の時間。金沢市片町のスクランブル交差点は傘を手に帰る若者らの姿はあったが、閑散としていた。
 片町では二〜三月以来、三度目の時短要請となった。「この状況をなんとかするためなら仕方がない。でも片町の灯を消したくもない」。バー「K!」のママ、山口佳子さんは休業するか迷った末、時短営業の張り紙を店頭に出した。
 「クラブ利恵(りえ)」のママ、上田利恵さん(69)は「感染を抑えるには協力せざるをえない。知らない顔してお客さんを入れることはできない」と休業を決めた。
 同市木倉町の居酒屋「木倉町クサムラ」は時短営業にした。同町を含む前回の片町対象の時短要請期間中は同市大工町と野々市市のグループ二店舗が営業できた。松田涼介店長(32)は「何とか乗り切れた」。だが、今回は協力金が少なく「これでどうしろって…」と頭を抱える。
 一方、市内にあるガールズバーは営業を続け、担当者は「協力金だけで従業員の給料は払えない。給料を払うのが一番大事だ」と漏らした。「第三波」ピークの二月、片町では接待を伴う飲食店でクラスター(感染者集団)が六件発生した。今回も時短要請の対象はホストクラブ、キャバクラなどを含むが、この日の夜は営業する店が少なくなかった。
 温泉街では東京、関西に出た緊急事態宣言の影響も。加賀市山代温泉のジャズバー「スイング」は営業時間を午後五〜九時に変更。店主の東(あずま)光博さん(53)は語りやトランペット演奏をインターネットで生配信して明るくアピールした。それでも人通りはなく客はゼロ。「こんな状況が続けば店はもたない。大事にしてくれるお客さんやアーティストのためにも何とか続けたい」と歯を食いしばった。
 奥能登の珠洲市では感染者が昨年から出ていない。同市飯田町のレストラン「能登和DINING(ダイニング) SHO(ショウ)−TATSU(タツ)」の西川幸彦代表(56)は「感染者ゼロというのはすごくプレッシャーになっている。一人でも出たら一気に広まるのではと不安もあり、時短営業は受け入れる」と話す。
 飲み屋街がある白山市辰巳町は静かだった。夜は居酒屋としても営業するうどん店「ト一」は午後八時、看板の明かりを消した。店主の松田三郎さん(69)は「急に言われても困る。食材の仕入れなど店の都合を全く顧みていない」と県の対応に不満をこぼした。

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