本文へ移動

静岡茶の魅力「敵」知ってこそ 葵区の業者、あえて他県産販売

2021年4月28日 16時00分 (4月28日 16時11分更新)
狭山茶や伊勢茶など他県の茶葉が販売されている特別販売場=28日午前、静岡市葵区の松坂屋静岡店で

狭山茶や伊勢茶など他県の茶葉が販売されている特別販売場=28日午前、静岡市葵区の松坂屋静岡店で

 県内で取り扱われることが少ない県外の有名茶葉を販売する一風変わった期間限定ブースが二十八日、静岡市の松坂屋静岡店に登場した。開設したのは、全国の有名茶農家と連携して高級ボトル茶を製造販売する「ベネフィッティー」(静岡市葵区)。茶どころ静岡で“ご法度”に挑んだのは、静岡茶への愛情と危機感からだった。 (五十幡将之)
 松坂屋地下一階の食品売り場に並んだのは、北は新潟から南は高知県まで有名な産地の茶葉。ベネフィッティーはお茶の付加価値の向上を目指し、超低温で茶を抽出する特殊技術を使った五百ミリリットルで約四万円のボトリングティーや、三百三十ミリリットルで千円ほどの炭酸を混ぜたスパークリング茶を製造している。
 今回の取り組みについて、西沢広保社長(56)は「静岡で地元のお茶ばかり飲んでいても当たり前過ぎてそのおいしさは分からない。他県産と比べることでその特徴や魅力を再確認してもらい、消費につなげたい」と狙いを語る。
 ただ、扱うのは静岡茶に引けを取らない「強豪」ぞろい。静岡と鹿児島県に次いで生産量全国三位を誇り、皇室にも親しまれている三重県の伊勢茶や「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」とも歌われる埼玉県の狭山茶など。全国の「茶手揉(てもみ)保存会」の会長らから取り寄せた十産地二十三種類の一級品で、中には十グラムで千円を超えるものもある。
 急須でお茶を入れる人が減り、茶葉の需要減が続くが、西沢さんは魅力の発信次第で、まだまだ売れると考えている。「雪の下で栄養を蓄える村上茶は国内茶産地の北限、新潟県から。四万十川の気候で育つ高知の土佐茶は、他の茶葉が中国の遺伝子を持つのに対し、日本固有の遺伝子の可能性が指摘されている。そう話すと買ってみたくなるでしょ」と笑う。
 地元からは試みに懐疑的な声もあった一方、お茶王国の静岡で他県産の茶葉を扱うと話したところ、県外の茶農家からは「静岡でうちの茶葉を売ってくれるなら、うちでも静岡茶を扱う」と、販路の拡大につながる声も届いているという。
 三月末から今月上旬に同所で開いた試験販売も好評で、手応えを感じたという西沢さん。「静岡の農家にも『絶対負けないので他県と比べてもらって構わない』と今回、参戦してくれた人もいる。いろいろ比べて最後は静岡茶に戻ってきてもらいたいのが本心。そのためにも既存の概念にとらわれない形で静岡茶のPRを続けていきたい」。五月四日まで。

関連キーワード

おすすめ情報