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“オリンピックおじさん”が断言する…東京五輪は「不急」のものになった 延期を模索するべきである

2021年4月28日 13時21分

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【コラム・光と影と】
 「不要不急」―。コロナ禍の最近ではよく聞き、日常の生活では、すっかり使い慣れた四文字熟語が、突然、現実味を帯びた。この際、批判を恐れずに書く。
 こと今日に至って、不要はともかく「東京オリンピックは不急」のものになってしまったのではないのか?!
 理由を書く。26日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長が、日本看護協会に500人の看護師確保を依頼した。詳しく書く必要は無いだろう。大会の縮小で、五輪だけでも選手、関係者を含む“参加者”は1万人以上と言われる。観戦者について言えば、競技によっては入場制限が設けられ、一部競技では無観客試合もありそうだが、それでも医療関係者の不在はあり得ない。押っ取り刀(急いで)で駆けつける場面は多々生じることは容易に想像できる。
 言い方によっては、関係者と言えなくもないが、報道関係者も世界中から数千~1万人が訪れると予想される。恥を忍んで書くが、もうかなり以前、1988年ソウル五輪のときの話。私も、医療関係者のお世話になった1人だ。取材活動中に左肩を脱臼。ソウル市内の病院で、優先的に緊急処置を受けた。この間、お隣とはいえ、外国からやって来た1人の記者は、順番待ちの患者を待たせてしまい、彼の国の人たちはそれを許してくれた。コロナのなかった時代である。
 しかし、そんなものは、これから訪れるかもしれない東京五輪・パラリンピックを思えば、ささいな話である。武藤事務総長の看護師確保の要請が表面化したちょうどその日、26日には日本のコロナ死者は1万人を超えた。そして今、危機的状況を抱えたままの人々を始め、多くのコロナ患者が苦しんでいるのだ。既に病床が逼迫(ひっぱく)し、医療崩壊が現実になりつつある大阪(近畿圏)の現状が、いつ東京(首都圏)に飛び火してもおかしくない。既に医師不足、看護師不足が社会問題化しているのが現状である。
 オリンピックは、4年に1度訪れる「世界のお祭り」である。否「だった」。世界パンデミックのさなか、東京オリンピックが「人類がコロナに打ち勝った証し」と、言える人がどれほどいるのだろう。
 開催強行が国民の理解をどれほど得られるというのだろう。断っておくが、私がオリンピック嫌いなわけではない。逆である。若い時分から細々とオリンピック研究を続け、3冊の著書もある。過去に4度、オリンピック大会を現地で取材した。その“オリンピックおじさん”が断言する。異論があることは承知の上で、東京オリンピックは、今「不急」のものになった。コロナ禍の鎮火を急ぎ、更なる延期を模索するべきである。(満薗文博・スポーツジャーナリスト)

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