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<月刊ジブリパーク> パークの設計図(7) 魔女の谷エリア

2021年4月26日 20時56分 (4月26日 21時11分更新)

魔法使いハウルの城の完成予想CG。目玉のような大砲が動くほか、作り込まれた内部に入ることもできるそう (c)Studio Ghibli


 宮崎吾朗監督(54)への連続インタビューもいよいよ大詰め。7回目は2023年秋ごろ開業予定の「魔女の谷エリア」について話してもらいました。魔法使いが主人公のジブリ映画「ハウルの動く城」「魔女の宅急便」と関係が深いヨーロッパの薫り漂うエリアになりそうです。(聞き手・古谷祥子、花井康子、谷村卓哉)

魔女の谷エリアの整備イメージ  (c)Studio Ghibli


 ハウルの浴室

劇中では空も飛ぶハウルの城 (c)2004 Studio Ghibli・NDDMT

 しっとりといい雰囲気で最初に目を付けたエリアです。西側以外の三方が山林に囲まれて外の物が目に入らないから、何か建てても邪魔されません。池があってメタセコイア、ラクウショウの木が大きく育っている。何だか欧風なイメージがあるすてきな所です。
 ジブリ作品も「ハウルの動く城」がフランス・アルザス地方をモチーフにし、「魔女の宅急便」がスウェーデンでロケハンをしたなど、欧風の要素がいっぱいなので、そうした作品を題材に楽しい空間を造れたら、と。素朴だけど意外に楽しいメリーゴーラウンドなど小さめの遊具も置いて、移動遊園地的な気分も味わえるようにします。

映画「ハウルの動く城」に登場するバスルーム (c)2004 Studio Ghibli・NDDMT

 
 建物の目玉は「ハウルの城」。高さは十六メートルほどになります。はりぼてのお城も造れますが、それじゃやっぱり面白くないので、例えば配管をして本当に湯が出るバスルームもしつらえます。劇中のハウルのお風呂って汚いし、お客さんに入っていただくかは別問題ですが「サツキとメイの家」と同じように住もうと思えば住めるようにしたい。映画の世界に入ったような気持ちになれるように。
 

 本格派の造り

映画「魔女の宅急便」の主人公キキの実家「オキノ邸」 (c)1989角野栄子・Studio Ghibli・N

 「魔女の宅急便」の主人公キキの実家「オキノ邸」、キキが働くお店も建てますが、これらは建築的にちゃんとやればできます。例えば、キキのお店は木造だけど壁には石やれんがを詰める「ハーフティンバー」といって、ヨーロッパで見る工法を採用します。でも、ハウルの城って尋常じゃない。雨漏りするから普通はこんなふうに屋根は組まないとか、現実では困ることもアニメーションの中では平気です。足も生えちゃってますしね。そういった課題を一つ一つクリアしながら設計が進められています。これから本当に建設していくのは大変でしょうが、楽しみでもあります。映画「アーヤと魔女」の主要舞台となった魔女の家も、やはり住もうと思えば住めるように建てられればと思います。

一部がハーフティンバー構造の半田赤レンガ建物。レストラン棟はこんな雰囲気になるのだろうか=愛知県半田市で

 池のほとりにはレストラン棟が建ちます。土地形状に合わせて細長くなるので「かつて倉庫だった」ような雰囲気で計画しています。れんが造りで、愛知県半田市にある「半田赤レンガ建物」のようなイメージです。
 エリア全体としては起伏もあって、場所によって景色が変わる庭園のように考えています。滝、州浜、山とさまざまな風景を楽しむ江戸時代の回遊式庭園と近しい感覚です。ジブリ式洋風庭園とでも言えるでしょうか。だから、もののけの里エリアと並び、庭や植栽も大事な要素だと、皆で話し合っています。

 みやざき・ごろう 1967年、東京都生まれ。アニメ映画「ゲド戦記」「コクリコ坂から」などを監督。ジブリパークの整備に力を注ぐ。

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全国の劇場で近日公開「アーヤと魔女」

ヒロインの声に13歳・平沢宏々路

「ジブリ作品では『となりのトトロ』や『崖の上のポニョ』が好き」と語る平沢宏々路=東京都千代田区で

 宮崎吾朗監督が手掛けたスタジオジブリ最新作「アーヤと魔女」が、全国の映画館で封切られる。昨年末NHKで放送されたジブリ初のフル3DCG作品を再編集。主人公アーヤ役(声)に抜てきされた平沢宏々路(こころ)は、大人を出し抜く賢さを持つ型破りなヒロインに、同世代ならではの共感を寄せる。
 施設で快適に暮らしていた十歳の少女アーヤの生活は、怪しげな男女マンドレーク(豊川悦司)とベラ・ヤーガ(寺島しのぶ)に引き取られ、一変する。魔女のベラ・ヤーガにこき使われ、初めて自分の思い通りにならない状況に置かれたアーヤは、反撃に出る。
 十三歳の平沢は、既に芸歴十一年。声優は初挑戦で「自分じゃない表情に合わせて声を出すのは難しい。映像や台本と見るものが多くて目が忙しかった」と語る。ジブリ作品で特徴的な食事シーンなどを過去の作品で見直し、声の演技の想像を膨らませた。

アーヤと魔女の一場面(TOHOマーケティング提供)

 知恵を働かせ、時に小憎らしい表情を浮かべるアーヤに「私も親に対してこう思うことあるなー」と親近感を持った。学校では協調性が重視されるが、アーヤの行動は真逆。「周囲の意見を取り入れることも大事だけど、自分をまっすぐ貫く強さを持ってほしい、と伝えている」と感じた。
 宮崎監督とジブリパークの話題になり「開園したらすぐに行きます!と話しました」。本作でベラ・ヤーガが呪文を唱えて薬を作るシーンを挙げ、「魔法を体験できる施設があったらいいな」と期待する。(古谷祥子)
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「世界の歴史」ジブリで活躍のアニメーター・近藤勝也さんが表紙絵

「世界の歴史」20巻

 ジブリ作品で活躍したアニメーター近藤勝也さんが装画を担当した「世界の歴史」(KADOKAWA)全20巻が刊行された。世界史を学べる漫画で、歴史上の人物や重要な出来事を描いている。
 表紙を彩るのは騎乗するチンギスハン(6巻)、ハプスブルクの「女帝」マリア・テレジア(8巻)、ベルリンの壁の開放(19巻)など。「全体を通して見ると、ひとつながりの世界観が生まれる」と担当者。20巻は地球を背にした世界の子どもたちで、多様性と未来を感じさせる。
 漫画は東京大の羽田正(まさし)名誉教授が監修し、各時代における各地の出来事を「横のつながり」として図解。新型コロナウイルスなど最新の話題も盛り込んだ。各巻1045円。(谷口大河)

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