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【石川】本人の同意 どう取れば 認知症患者らへの接種 国「しぐさで確認を」 

2021年4月26日 05時00分 (4月26日 10時13分更新)
ワクチン接種の予診票。接種を希望する場合のチェックや、サインをする欄がある

ワクチン接種の予診票。接種を希望する場合のチェックや、サインをする欄がある

 金沢の施設 「判断して、と言われても」


 石川、富山両県でも高齢者に新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、事前に必要となる本人の同意を巡って現場が困惑している。高齢者には認知症や老衰などの影響で意思確認の難しい人がいるためだ。うなずきなどのしぐさからでも本人の意思をくみ取るよう国は求めている。高齢者施設からは何をもって本人同意とするのか、具体的な判断の基準や方法の提示を国に望む声も上がる。 (高橋雪花、写真も)
 「本人に説明しながら、顔をしかめたり嫌と言ったりしなければ同意としてくみ取った。家族の同意も取り、二重に確認した」。金沢市内のある特別養護老人ホームの施設長は言う。一方で本人が希望しても、家族の反対で打たせない判断をしたケースもあった。
 「百パーセント本人に意思確認するのは難しい。副反応が出たときに同意の手続きが疑問視され、責任を取ることになったら。正直怖い」。施設長は続ける。
 予防接種法などは、接種には本人や成年後見人ら保護者の同意を文書で得ることを明示する。一方で、田村憲久・厚生労働相は国会で「成年後見人であろうが誰であろうが、本人の意思を確認しないで接種することはできない」と説明している。厚労省予防接種室の担当者も取材に「なるべく家族の協力を得ながら本人の意思をくみ取り、確認してもらうことに尽きる」と答えた。
 静岡市の静岡瀬名病院では入院患者百五十七人に接種する予定だったが、本人でなく家族の同意だけを得ていたことが発覚。医師が本人同意を取り直すと、希望者は百十一人に減った。小川祐輔院長は「はいと言ったり、うなずいた人を同意とした。無反応の人は同意が取れなかった。一定の割合の人が免疫を持ち流行を抑えられる集団免疫が必要なのに、接種が漏れると意味がなくなる」と話す。
 金沢市は本人の同意が取れなければ接種できないとする文書を各施設に出した。別の特別養護老人ホームの施設長は「本人の確認を、と言われると正直困ってしまう」と漏らす。
 この入所者はほとんどが認知症。本人と意思疎通が難しい場合、嘱託医に既往歴を踏まえた接種の了解を得て家族や後見人に判断を仰いだ。「何でも施設で判断してと言われても混乱する。国が本人同意で何らかの指針を示してくれたら安心できるのに」と語る。
 厚労省の担当者は、現場が直面する本人同意の問題について「すごく難しい部分がある」と理解を示しつつも「医療行為を受けるのは本人の権利で、本人の尊厳に関わる問題」と強調。「周囲はうなずいたりまばたきしたりといった、普段のコミュニケーション方法や来歴、考え方から総合的に判断して本人の意思を尊重してほしい」と話した。

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