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新人騎手に伝えたい…大事なのは勝った時のスマイルより、負けて降ろされた時の「忍耐」【本城雅人コラム】

2021年4月26日 06時00分

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西谷凜騎手

西谷凜騎手

◇コラム「ぱかぱか日和」 
 何人かからこんな話をされた。調教師の仕事でキツイことの一つが、乗り代わりを騎手に伝えること。馬主からの指令で出ることもあれば、調教師の判断で「手を代えた方がいい」「成績上位の騎手が空いたから」と代えることもある。明らかなミスをしたと騎手が自覚している場合はスムーズだが、中には好騎乗してようやく馬が真剣に走るようになったり、毎朝熱心に調教をつけて馬に教え込んでいる騎手もいる。そういう騎手に交代を告げるのは胸が痛くなる。
 騎手だって全員が素直に従うわけではない。明らかに不快な顔をする騎手もいれば、しばらくプイと横を向く騎手もいる。「やっぱり調教師も人だから。何もなかったようにその後も接してくれる騎手の方が『我慢してんだろうな』『悪いことしたな』と、また頼みたくなる。(武)豊とか(松永)幹夫とか河内とか、トップと呼ばれる騎手はそうした感情のコントロールができたよね」。同じことを何人もの調教師が言っていた。
 8人がデビューした今年は、福永、和田竜などを輩出した花の12期生を思い起こすほどのジョッキーのビッグヴィンテージ(当たり年)になりそうだ。25日の西谷凜騎手で8人全員が勝利を挙げ、トップは古川奈穂騎手の6勝、小沢、永野騎手の5勝が続く。この調子でいけば和田竜騎手が1年目、柴田大、福永騎手が2年目に重賞制覇、古川吉騎手が2年目にG1を勝った12期生のような早い段階で重賞、G1での活躍が見られそうだ。
 とはいえ大事なのは勝った時のスマイルより、負けて降ろされた時の「忍耐」である。今は厳しい師匠や先輩たちの下で、たくさんのことを学んでいるが、心の底から悔しさや怒りが沸き上がってくる時でもそっと隠すことができる、そうした感情のコントロールも身に付けてほしい。それもまた一流になるための技術なのである。(作家)

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