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“金もうけ”スーパーリーグには断固反対だが…頭打ちJリーグは強化のため「プレミア」創設へ動くべき【月刊ラモス】

2021年4月25日 15時42分

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自信満々に欧州スーパーリーグ構想を発表したRマドリードのペレス会長だったが…(AP)

自信満々に欧州スーパーリーグ構想を発表したRマドリードのペレス会長だったが…(AP)

 欧州サッカー界を激震させた欧州スーパーリーグ創設合意のニュース。しかし、国際サッカー連盟(FIFA)や欧州サッカー連盟(UEFA)、各国リーグの猛反発であっという間に頓挫しそうだ。月刊ラモスのラモス瑠偉編集長も「こんなバカな話がうまくいくわけがない」と一刀両断。その一方で、停滞気味のJリーグについて「今が変革の時」とプレミアリーグ構想を提唱する。コロナ禍を乗り越え、いかにしてJリーグを、そして日本サッカー界を発展させていくか。ラモス編集長の大胆な発想とは。
 はっきり言って、呆れている。欧州で沸き起こったビッグクラブによるスーパーリーグ創設構想。猛反発を食らい、発表直後にプレミアリーグのクラブなどが次々と離脱している。
 反発を食らって当たり前だ。そこにあるのは金持ちクラブの金もうけ主義だけ。欧州で長い年月をかけて培ってきたサッカー文化を破壊するものであり、各国の協会、リーグ、そして多くのサポーターを無視した単なるビジネスリーグでしかない。
 コロナ禍で多くのクラブが経営面で危機を迎えている。それはサッカーだけでなく、世界中のスポーツ、芸能、飲食、ありとあらゆる分野の人々も同じだ。一部のビッグクラブだけが生き残るために、ほかのものを犠牲にする。そんなの許されるわけがない。
 こんなリーグが誕生したら、クラブがサポーターのものではなくなってしまう。入場料やテレビの視聴料だって庶民の手の届かないものになるだろうし、そうなれば一部の富裕層だけの特別なリーグとなってしまう。
 各国のサッカー文化の発展や強化を阻害する。そもそもそんなリーグにサッカー愛があるのか。最初に発表されたスーパーリーグ参加クラブに、ドイツ・ブンデスリーガやフランスリーグのクラブの名前がなかった。バイエルンミュンヘンなど、名前があっておかしくないビッグクラブだが、スーパーリーグの存在意義に賛同できないから加わらなかったのだろう。
 案の定、欧州中の猛反発を食らい、あっという間にスーパーリーグは頓挫した。当たり前である。
 欧州の各国リーグ同様、日本のJリーグのクラブもコロナ禍で苦しんでいる。1993年5月15に産声を上げたJリーグも、今年で28年目を迎えた。コロナで入場者数の制限があるため、入場料収入が激減し、多くのクラブが経営難に陥っている。強化においてもクラブ間の格差が広がり、ゲームの質の低下が見受けられるなど、多くの問題を抱えている。そして何よりも問題なのは、話題性に乏しく、存在感が薄くなっている。
 J1ですらアレッ?と思う内容の試合が多い。川崎フロンターレは世界基準のゲームを見せてくれている。アグレッシブでボールがハイスピードで動き、ゴールもたくさん生まれているからおもしろい。しかし、ほかのクラブはどうなのか。下位クラブにいたっては、プロの興行としてどうなんだろうと首をひねりたくなる試合が散見される。
 Jリーグには地域密着という大きな理念がある。これは大事なことだが、地方のクラブは財政的に強化が追いつかないところもある。スタジアムのキャパシティー、アクセス、都市の規模。これはクラブの力だけではどうにもならない。
 頭打ち状態のリーグをどうやって活性化し、いかにレベルアップしていくか。私が思い描いているのは「プレミアリーグ」構想だ。地域密着を前面に押し出すクラブと世界を目指すクラブを二分化する。世界を目指すクラブでプレミアリーグを結成し、その下にJ1、J2を置く。入れ替え戦を行い、強化が進んでレベルアップしたクラブは世界を目指すことも可能だ。
 まずはスタジアムや財務状況、成績など、参加基準を厳しくして、12クラブでプレミアリーグを発足させる。ホームアンドアウェーの2回戦総当たりで、1クラブ年間で44試合。またはホームアンドアウェー1回戦総当たりと中立地で1試合を行い、1クラブ年間33試合のリーグ戦を行う。
 Jリーグの発展とともに、日本のサッカーは飛躍的に進歩してきた。初期のJリーグでは、超大物外国人選手と同じピッチでプレーすることが、日本人のレベルアップにつながった。その後、多くの日本人選手が欧州の各国リーグでプレーすることで、実力をつけた。ただ、いまは海外でプレーすることがファッションのようになりつつある。
 6大会連続W杯出場。いまや日本がアジアトップレベルの強豪国であることは間違いない。しかし、最高成績はベスト16(過去3回)止まり。ベスト4入り、さらにファイナル進出を目指すなら、もう一度国内リーグを活性化し、世界基準のクラブを作り上げ、国内リーグで選手を強化することが早道なのではないか。
 2018年W杯ロシア大会決勝トーナメント1回戦のベルギー戦。0-
2からひっくり返され、ベスト8を目前にしながら日本はサッカーの本当の怖さを学んだ。さらなる高みを目指すために、いかにして国内リーグの価値と魅力を高めていくか。世界と戦うための厳しい競争世界を築き上げるために、ジャパン・プレミアリーグ創設を提言したい。(元日本代表)
 ◆欧州スーパーリーグとは…欧州スーパーリーグ構想については、スペインのレアル・マドリードが主導し、イングランド、イタリアの12のビッグクラブが合意。4月18日に創設決定が発表された。実質的にチャンピオンズリーグ(CL)に取って代わる大会となるため、同大会を主催する欧州サッカー連盟(UEFA)や、国際サッカー連盟(FIFA)が猛反発。CLや各国内リーグの参加資格はく奪だけでなく、代表活動、国際主要大会からの追放も示唆。また、選手、サポーター、各国リーグ関係者だけでなく、ジョンソン英首相、マクロン仏大統領も批判の声を上げた。
 これを受け、参加を表明していたイングランド・プレミアリーグのビッグ6(マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティー、リバプール、チェルシー、トッテナム、アーセナル)は離脱手続きに入ったことを発表し、アトレチコ・マドリード、インテル・ミラノ、ACミランも相次いで不参加を表明した。残るはRマドリードとバルセロナだけとなった。
 スーパリーグ設立に関しては米国の巨大投資銀行JPモルガンが総額40億ユーロ(約5200億円)の資金を拠出するという報道もあり、欧州全体の反発を招く一因となった。

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