リニア工事で南アルプスどうなる 訴訟原告団調査委が出版
2021年4月21日 05時00分 (4月21日 05時03分更新)
リニア中央新幹線工事が南アルプスに及ぼす影響について考えてもらおうと、工事を巡る訴訟の原告らが「リニアが壊す南アルプス エコパークはどうなる」(緑風出版)を出版した。 (五十幡将之)
沿線住民ら約七百八十人が国の工事認可取り消しを求めて東京地裁に提訴した行政訴訟原告団の南ア調査委員会が執筆。工事が南アの国連教育科学文化機関(ユネスコ)のエコパーク認定に及ぼす影響に絞った点が特徴で、南アの概要からエコパークの定款との整合性までを丹念に検証した。
エコパークは二〇一四年、静岡、山梨、長野の三県にまたがる南アルプス一帯が登録され、人と自然との共生を掲げた取り組みが進んでいる。
登録抹消の可能性を巡っては昨年七月、JR東海がトンネル直上の地下水位が三百メートル超低下する可能性を明らかにした点などを指摘。これらの変化がエコパークの定款の「持続可能な発展」にそぐわず、すぐ登録抹消となる可能性は低いものの、その可能性は十分あるとして徹底的な影響予測や計画見直しを求めている。
著者の一人で、東京地裁のストップ・リニア!訴訟と、静岡地裁で二十三日に第二回口頭弁論があるリニア工事差し止め訴訟の芳賀(はが)直哉事務局長は「リニア問題というより環境問題の観点からまとめた。内容は今後の裁判でも活用するが、訴訟に関わりのない人にも手に取ってほしい」と話した。
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