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父をリスペクトしながら…父の重みを背負っていることを感じさせない横山武史騎手【本城雅人コラム】

2021年4月19日 06時00分

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エフフォーリアで皐月賞を制し、満面の笑みでガッツポーズする横山武

エフフォーリアで皐月賞を制し、満面の笑みでガッツポーズする横山武

◇コラム「ぱかぱか日和」 
 騎手も馬もタフな競馬をモノともしなかった。3歳春の若駒エフフォーリア、そしてジョッキーは22歳の若武者、横山武史騎手だ。
 やや重まで回復したとはいえ、馬場コンディションは良くなかった。3、4番手で最初の2つのコーナーを回るが、真横にいたダノンザキッドが15着まで後退したくらいだから、けっして楽な流れではない。さらに向正面で外からレッドベルオーブが上がっていくなど乱ペースになり、上がり3Fは36秒7もかかった。それでも横山武史騎手は一人だけ絶好の馬場コンディションを走っているような競馬。4コーナー手前は前に馬がいたが、まるで必ず開くと信じていたかのようにじっとしている。2着に3馬身差もつける大勝は、昨年のコントレイルに肩を並べるほどだが、そのエフフォーリアの能力をもっとも信じていたのが横山武史騎手だったということだ。
 祖父が横山富雄さん、父が現役の横山典弘騎手だが、彼を見ていると、競馬界で多く見る「競馬一家」のイメージとは異なる。武豊騎手も福永祐一騎手も若い頃はマスコミから執ように父親について聞かれ「また同じことを」と思いながらも、競馬ファンが描いた偉大な父親像を傷つけないように丁寧に答え、ある意味息苦しい若手時代を送った。
 だが横山武史は、父をきちんとリスペクトしていながらも、父の重みを背負っていることを感じさせないのだ。馬上で喜びを爆発させ、勝利ジョッキーインタビューでは「サイコーです!」と甲高い声を上げた。レースを観戦していた父もあまりに堂々とした初G1制覇した息子に感心するとともに、自分はあの若さであんな振る舞いはできなかったと、うらやましく思ったのではないか。横山武史がエフフォーリアとともに歩む無敗の三冠ロードには、なにか新しい時代の到来を感じてしまう。(作家)

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