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未来へ向けた「さくらしべふる」 山本基さん(金沢)個展 瀬戸内市立美術館で制作

2021年4月17日 05時00分 (4月17日 14時00分更新)
濃いピンク色の床一面に塩でサクラの花びらを描いていく山本基さん=岡山県瀬戸内市立美術館で 下は作品の一部。花びらの形は5種類。一つ一つに思いがこもる(山本基さん提供)

濃いピンク色の床一面に塩でサクラの花びらを描いていく山本基さん=岡山県瀬戸内市立美術館で 下は作品の一部。花びらの形は5種類。一つ一つに思いがこもる(山本基さん提供)

 塩を素材にしたインスタレーション(空間芸術)作品を国内外で制作する芸術家山本基(もとい)さん(55)=金沢市=の個展「さくらしべふる」が、瀬戸内市立美術館(岡山県)で開かれている。大切な人を失った後、「思い出をつなぎとめるための仕掛け」として制作を続けてきた山本さんだが、「手法は同じでも、描いている時の心持ちはこれまでと全く違った。娘の将来を思い、目線が未来へと向いた」と語る。
 「桜蘂(しべ)降る」は晩春の季語。「花びらを支えてきた雄しべ、雌しべが降る季節。花びらが散った後の、少し先の景色を思い浮かべてもらいたいという気持ちでタイトルにした」。九日間をかけ、七メートル四方の濃いピンクの床に、十万枚を超えるサクラの花びらを一つ一つ塩で描いた。濃いピンク色の床の中心から白い花びらがあふれ出るようで生命感を感じさせる。
 山本さんが塩を素材し始めたのは一九九四年に若くして脳腫瘍で亡くなった妹への思いから。二〇一六年には妻敦子さんをがんで失い、がん患者やその家族の交流サロンを会場にした作品もつくった。
 今は一人娘の祐乃さん(9つ)と二人暮らし。娘の成長とともに「これまで過去にアプローチしてきたが、将来への意識が高まった」。広島県尾道市出身で、瀬戸内海を見て育った。会期末の五月五日に、作品の塩を海にまく「海に還るプロジェクト」を行う予定だ。 (松岡等)

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