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料亭かつ新 津田 群(ぐん)さん(34) 味探究 夢の向こうへ

2021年4月13日 05時00分 (4月13日 10時08分更新)
ちらしずしを仕込むためクルマダイをさばく津田群さん=石川県白山市で

ちらしずしを仕込むためクルマダイをさばく津田群さん=石川県白山市で

 日本料理店「料亭かつ新」(石川県白山市)の二代目継承の期待を背負い、父とともに料理人として腕を振るう。かつてプロのサッカー選手を目指した努力家は、金沢市内で修業を積んだ経験も生かし、たゆまぬ探究心で新たなメニューの開発に熱意を注いでいる。
 父が料理し、母が接客をする姿を幼い頃から見てきた。「おいしかった」「幸せな時間だった」。こう話す客の笑顔を見て、幼心に料理人として働く自分を想像した。一方で小学生の頃からサッカーに没頭。卒業アルバムには将来の夢として「プロになれなかったら料理人に」と書いた。
 高校は地元の強豪校・星稜高校(金沢市)に進学。同級生にはサッカー元日本代表で、現在も海外で選手として活躍する本田圭佑さんがおり、ともに切磋琢磨(せっさたくま)した。負けん気は強い方だが、本田さんのサッカーに対する熱意には脱帽した。食事管理を徹底し、試合や練習の記録をノートに付けていた。「意識の差」を感じ、三年生でプロのサッカー選手になる夢を諦めた。
 料理人を目指すため、大学四年生の時、アルバイトで金沢市の日本料理店「卯辰かなざわ」(昨年五月閉店)の門をたたいた。卒業後もこの店で働き続け、「包丁の使い方から接客まで、料理人としての全てを学んだ」と振り返る。
 「いつか、この学びを実家の店に伝える」。そんな思いを強く持つようになった頃、実家から従業員が退職したとの連絡があり「帰ってくる?」と聞かれた。二〇一八年春、「料亭かつ新」の調理場に立った。
 サッカーに真摯(しんし)に向き合ったように、料理も納得いくまで何度も作り直す。現在はメニュー開発から調理まで全てを担い、冷めてもおいしい仕出し料理や、客の予算に合わせた弁当作りを手掛ける。
 新型コロナウイルス禍でランチも始めた。三月には、ふぐ鍋を気軽に味わえる月替わり御膳(税込み千五百円)を考案し、会員制交流サイト(SNS)で発信する。「自分の料理が常連客に受け入れられるのか」という不安もあり、再び、他の店で修業を積もうかとも考えている。
 高校卒業後も本田さんはサッカー部の同級生と一緒に白山市の自宅に来てくれた。その時は決まって小学校の卒業アルバムを開き、「俺と群だけが夢を実現させてるな」と笑った。確かに夢はかなえたが、今は次の目標がある。「さらに愛される店を目指して、精進していきたい」(都沙羅)

【店舗メモ】仕出し料理や冠婚葬祭料理、座敷料理を専門とする。1988(昭和63)年に創業。弁当は前日までの電話予約で、ランチは火−金曜日に限り予約なしで食べられる。石川県白山市相木町151の1。


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