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得点入らなくても“特典”がある…試合動かした中日・平田の2年ぶりの盗塁 苦しみながらも見せた野球偏差値

2021年4月12日 11時13分

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2回裏2死、打者根尾のとき、平田が二盗を決める

2回裏2死、打者根尾のとき、平田が二盗を決める

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇11日 中日2ー1ヤクルト(バンテリンドームナゴヤ)
 薄氷を渡りきった瞬間、与田監督は右の拳を振り上げていた。本日は「ガッツポーズの日」。1974年4月11日、プロボクシングライト級のタイトルマッチで、挑戦者のガッツ石松がKOでタイトルを奪取し、喜びのポーズを披露した。「ガッツポーズ」という言葉じたいはそれ以前からあったが、一気に定着したのがこの日だった。
 もっとやればいいのに…。先制打の福田に笑顔はなく、ただ安堵(あんど)の表情だった。好投の小笠原も、ガッツポーズとは呼びづらいささやかな喜び。事前にリクエストしていた本紙カメラマンによる「ベストガッツ」は、ようやくノーアーチにピリオドを打った木下拓だった。
 彼らが表のヒーローなら、裏のヒーローを書く。2回2死。中前打で出た平田が、根尾のカウント2―2から走った。
 「走れると思ったので走りました。チャンスメークができて良かったです」
 この2年ぶりの盗塁が、試合を動かす歯車になった。すでに追い込まれていた。十分に勝算があってのスタートだったが、アウトでも仕方ないという割り切り。そしてこの二盗の奥には、平田らしい計算があったはずだ。
(1)得点圏に進み、根尾が打てば点が入る。
(2)得点が入らなくても特典がある。
実際には(2)の通り、事は進んだ。フルカウントから、ファウルをはさんで根尾が歩く。田口は際どいところにチェンジアップを投げて誘ったが、根尾は振らなかった。田口からすれば、根尾で勝負だが、一塁が空いたことにより、四球は織り込み済みだった。
 一、二塁。次の小笠原は見逃し三振に倒れたが、3回は1番・大島から始まった。ヒット、犠打、進塁打。2死からの福田の先制打。平田の二盗から、話はつながっているのだ。打率1割5分6厘。苦しんでいる平田が見せた野球偏差値。彼に限らず、トンネルから出たときは、照れずにもっとはじけてほしい。ガッツポーズは仲間にも、見ている人にもメッセージが伝わるものだ。

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