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武豊に『一番話を聞きに来る若手』桜花賞の吉田隼人はまるでベテランジョッキーのようだった【本城雅人コラム】

2021年4月12日 06時00分

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桜花賞を制したソダシ(右)

桜花賞を制したソダシ(右)

◇コラム「ぱかぱか日和」 
 まるでレース経験豊かな古馬にクラシックを何度も制したベテランジョッキーが乗っているようだった。好スタートから2番手につけたソダシだが、道中はメイケイエールが後方から一気に先頭に立つなど馬の出入りが激しい乱ペース。だが人馬一体でまったく惑わされることがない。春の陽をいっぱいに浴びたまぶしいほどの白毛の馬体なのだ。すべての馬にソダシの動きは見えていた。事実ファインルージュの福永騎手は完全にソダシをマークしていた。
 4コーナーを回ると、前がバテ気味だったこともありおのずと先頭に立つ。早いくらいだが、吉田隼人騎手は我慢もさせず、馬の思うままに走らせた。最後に阪神JFでもしのぎを削ったサトノレイナスが首差まで迫ってきたが、着差以上に内容の違いがあった。何せサトノレイナスはソダシに勝つにはこれしかないという競馬をしたのに対し、ソダシはどんな展開になろうと負けない競馬をした。これこそ女王のレースである。
 それにしても吉田隼騎手のソダシへの信頼度はすごい。これまでの2着以下につけた着差の最高は新馬戦の2馬身半。4戦中2戦は鼻差、首差だ。だから無敗なのに毎回、抜けた人気にならない。しかしジョッキーには追えばいくらでも伸びる、ペースが速くてもバテない、思い通りに動かせる自信があるのだろう。
 吉田隼騎手は川田騎手、藤岡佑騎手と同期。若手のころは乗り馬に恵まれず、2人に差をつけられていたが、そのころ、武豊騎手から「若手で一番僕に話を聞きに来るのは隼人ですよ」と聞いた。地道に実力をつけてきたからこそ、最終的には2番人気になったが、注目を浴びたクラシックでも、いつも通りのレースができるのだ。ソダシがまぶしいのは、白毛の馬体はもちろんだが、クラシックジョッキーになるまで、一歩ずつ階段を上がってきた吉田隼騎手の思いまでが見えてくるからだろう。(作家)

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