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激動の時代生きた希代の絵師 24日から金沢21美「月岡芳年展」

2021年4月10日 05時00分 (4月10日 11時49分更新)

【右】「芳流閣両雄動」大判錦絵縦二枚継、明治18年(1885)【左】「一魁随筆 西塔ノ鬼若丸」大判錦絵、明治5−6年(1872−73)


【右】「風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗」大判錦絵、明治21年(1888)【中】「風俗三十二相 けむさう 享和年間内室之風俗」大判錦絵、明治21年(1888)【左】「月百姿 玉兎 孫悟空」大判錦絵、明治22年(1889)


【右】「新撰東錦絵 鬼神於松四郎三朗を害す図」大判錦絵二枚続、明治19年(1886)【中】「五世尾上菊五郎」大判錦絵三枚続、明治23年(1890)【左】「新撰東錦絵 神明相撲闘争之図」大判錦絵二枚続、明治19年(1886)


武者、歴史、奇想…多彩な画業

 幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師月岡芳年(1839〜92年)。現代では当初「血みどろ絵」や怪異を描いた奇想の絵師として脚光を浴びたが、没後120年の2012年ごろから多くの出版物や展覧会で多彩な画業と魅力が広く知られるようになった。
 金沢市の金沢21世紀美術館で24日から始まる「最後の浮世絵師 月岡芳年展」(北陸中日新聞、石川テレビ放送主催)は、「奇想も可憐(かれん)も妖艶も血みどろも」と銘打って、激動の時代を生きながら独自の表現を磨いて希代の絵師となった芳年を紹介する。
 展示されるのは、年代も職業もさまざまな女性を情感豊かに描写した円熟期の「風俗三十二相」や物語の怪異シーンを集めた「新形(しんけい)三十六怪撰」、色づかいが美しく典雅な大作「月百姿(つきのひゃくし)」シリーズなど、メ〜テレ(名古屋テレビ放送)が所蔵する約150点。
 2枚継ぎの縦長画面に「南総里見八犬伝」の戦いの場面を描いて緊張感がみなぎる「芳流閣両雄動」、実録や講談などに取材してリアリティーを感じさせる「新撰東錦絵(しんせんあずまにしきえ)」シリーズ、残酷絵の代表作として有名な「奥州安達がはらひとつ家の図」も出品される。
 美しい多色木版画の浮世絵は、大量生産・消費で大名から庶民まで幅広い階層に親しまれ、そばに置いて楽しむ美術品であるとともに、社会を知る最新メディアでもあった。1点ずつながめていると、当時の人々の暮らしや息遣いまでがよみがえるようだ。(鈴木弘)

【プロフィール】つきおか・よしとし=天保10(1839)年、東京・新橋の商家に生まれる。11歳ごろ歌川国芳に入門。師譲りの武者絵をはじめ、歴史画や役者絵、怪奇絵や美人画などを手掛け、斬新な構図や繊細な感情表現で人気を集めた。明治に入ると新聞小説の挿絵でも活躍した。

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