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経営者の兼業受け入れ 浜松の住宅設備会社

2021年4月10日 05時00分 (8月31日 19時26分更新)
社員らと販売戦略を話し合う兼業者たち(右側の4人)=浜松市西区のOMソーラーで

社員らと販売戦略を話し合う兼業者たち(右側の4人)=浜松市西区のOMソーラーで

 新型コロナウイルス感染拡大で在宅勤務をする人が増える中、空き時間を使って地方で兼業する動きが広がっている。住宅設備メーカーのOMソーラー(浜松市西区)は四月から、首都圏や関西の会社経営者ら四人の兼業者を受け入れた。七月までオンラインで話し合いを重ね、販売戦略を提案してもらう。 (高島碧)
 同社が活用したのは、NPO法人G−net(ジーネット、岐阜市)が運営する兼業仲介サイト「ふるさと兼業」。企業が挑戦したい課題を示し、ノウハウを持つ人材を募る仕組みだ。
 太陽熱を利用した独自の空調・給湯システムを手掛ける同社は、全国の会員工務店を通じて商品を販売している。しかし、顧客に直接PRする機会が少なく、情報発信の手法に頭を悩ませていた。
 三月にサイトで兼業人材を募ったところ、全国から十人が応じ、二回の面接で四人を選んだ。いずれも三十〜四十代で、システム開発会社を経営したり、フリーランスで商品を開発したりと多彩な顔ぶれだ。
 四人は今月七日にOMソーラーを訪れ、社員らと顔合わせした。唯一、ボランティアとして参加する輸送機器メーカー勤務の桜井崇晴さん(31)=京都府=は、スライドを使って顧客のニーズ調査を提案。「購入者や買うのをためらった人にアンケートして『事実』を知る必要がある。使い手の視点に立つことが重要だ」と説明した。
 今後は二週間に一回のペースで、社員とオンラインで話し合いを重ねる。大手インターネット関連会社で働く兼業者の坂井孝司さん(45)=東京都=は「本業は七割がオンライン勤務。兼業できるのはその恩恵で、自分の培った知識も生かせる」と意欲を見せた。
 OMソーラーの飯田祥久社長(49)は「これまで外部からアイデアを得るには長期間の業務提携が必要で、費用もかかった。ふるさと兼業は短期集中で気軽に一流企業の方から意見をもらえる」と利点を説明。「コロナ禍で市場の変化が激しく、先を読むのは難しい。兼業者の意見を生かしてデジタルを使った販売戦略を練りたい」と語った。

◆コロナ禍 希望者急増

 ふるさと兼業は二〇一八年開設。現在の兼業希望の登録者は四千百人で、二十年に一気に三千人増えた。G−netの掛川遥香さん(27)によると、コロナ禍で仕事が激減した航空や観光業界が多く、「自己実現やスキルアップのほか、仕事がなくなる危機感が動機にある」と分析する。
 課題は兼業希望者の増加に対し、参加する企業が伸びないことだ。これまでに静岡県内で仲介が成立したのは六組。うち企業はOMソーラーのみで、他はNPO法人が占める。掛川さんは「応募は百パーセント集まるが、兼業者と企業が本当に合うのか。質の確保が欠かせない」と難しさを語る。
 G−netと連携して兼業者と企業をサポートするNPO法人ESUNE(エスネ、静岡市葵区)の斉藤雄大さん(27)は「中小企業にとってはサイトの利用料が壁となる。兼業を通じて地方に興味を持ってもらえれば、結果として地域の活性化につながる」と話し、企業への自治体の支援を期待する。
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