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【石川】子の晴れの日 悩み晴らして 金沢 ひとり親に着物 子ども食堂贈る

2021年4月8日 05時00分 (4月8日 10時03分更新)
一人娘の入学式を前に、松本文さん(左)から着物を着付けてもらう女性=7日、金沢市で

一人娘の入学式を前に、松本文さん(左)から着物を着付けてもらう女性=7日、金沢市で

 金沢市の子ども食堂が七日、ひとり親の女性(36)に着物をプレゼントした。一人娘の小学校入学式を晴れ着姿で迎えてもらうためだ。生活が苦しく「子どもの入学式に着ていく服がない」とこぼす別の母親の声を聞いたのがきっかけ。入学シーズンは出費がかさみ、いつもより家計が厳しくなりがちで、関係者は支援の輪の広がりを期待する。(高橋雪花)
 「わあすごい、着物!」。市内のアパートの一室で、ひとり親の女性の声が弾んだ。着付師の女性の手伝いで、シャクヤクが咲く薄緑色の着物に袖を通せば、自然と背筋が伸びる。「ちゃんとしたお母さんっぽいな」。制服に身を包んだ長女(6つ)も、おめかしした母の前で、跳びはねてうれしそう。
 女性は新型コロナウイルス禍で失業。普段から無駄遣いは避け、入学式には三年前に八百円で買ったよれよれの中古スーツで行くつもりだった。成人式以来の着物姿。「着物なんて無理だろうと思っていた。制服を着た娘と二人、新鮮」と笑い、娘と入学式に向かった。
 きっかけは同市新神田の子ども食堂「かなざわっ子nikoniko俱楽部」代表の喜成清恵さん(50)による会員制交流サイト(SNS)での呼び掛けだった。子ども食堂を利用していた複数の母親が昨夏、「入学式に着ていくスーツがない」とこぼすのを聞いたことが心に残り、一月に服の支援を募った。
 「着物なら」と申し出たのが、同市平和町の「平和こども食堂」代表の松本文さん(50)だ。自身もかつて、シングルマザーとして三人の子を育てた。「当時は自分のことで精いっぱいだったけれど、周りの人に助けられて子どもを育てられた」。身を立てるために覚えたのが着付けだった。今回、両方の子ども食堂を利用するこの女性に、手持ちの着物を譲った。自身の経験を生かして、この日朝、着付けも手伝った。
 松本さんは「お子さんにとっても『あの時お母さんが着物を着てたな』と思い出になる。普段バタバタして大変だと思うが、華やかな気分で日常を忘れて過ごしてほしい」。喜成さんは「こうしたおせっかいを焼く団体がもっと増えたらうれしい」と語った。

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