本文へ移動

極小チューブ新技術 人工臓器へ応用期待 特殊加工で水の流れ自在 

2021年4月8日 05時00分 (4月8日 09時46分更新)
スクリーンに映るチューブの赤い部分が強疎水の状態で、水分子を示す水色の球が左から右に移動することを説明する古石准教授=福井市の福井大学文京キャンパスで

スクリーンに映るチューブの赤い部分が強疎水の状態で、水分子を示す水色の球が左から右に移動することを説明する古石准教授=福井市の福井大学文京キャンパスで

 福井大・古石准教授ら発表

 福井大工学部の古石貴裕准教授らの研究グループが、水を輸送する極小サイズのチューブの表面に特殊な加工を施すことで、圧力差や濃度差を利用することなく自発的に水を輸送することが可能なことを突き止めた。これまでにない新たな水輸送方法で、人工臓器などさまざまな水輸送技術への応用が期待される。 (堂下佳鈴)
 水を輸送するチューブの半分に加工を施して水をはじく性質「疎水性」を持たせる。疎水性のあるなしを交互に切り替えることで、水分子がはじかれて移動し、モーターと同じ動きを創り出せる。分子は力を加えなくても常に動いているが、疎水性のある「強疎水」と疎水性のない「弱疎水」の切り替えを繰り返すことで水の流れができる。圧力差がない左右間だけでなく、下から上など圧力が低いところから高いところでも水を輸送できる。
 コンピューターシミュレーションで明らかにした段階だが、古石准教授は実際に強疎水と弱疎水を切り替えるには、温度変化によって特性が変わる高分子「ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(PNIPAAm)」を使うことが有効とみている。PNIPAAmは、プラスチックの材料などにもよく使われる高分子の一つで、疎水性と水に溶けやすい親水性の両方の性質を持つ。温度変化によって性質が変わるため、強疎水と弱疎水を切り替えるスイッチの役割になり得ると考えている。
 このシステムは、環境に左右されずサイズも極めて小さいため、実現すれば二十四時間安定稼働が必要な人工臓器などさまざまな水輸送技術への応用が期待されるという。
 研究グループには慶応義塾大の荒井規允(のりよし)准教授と理化学研究所の戎崎(えびすざき)俊一研究員が加わっている。研究成果が認められ、米化学誌「ACS Nano」でも公開された。

関連キーワード

PR情報