本文へ移動

手書きで1年 地域紡ぐ 穴水の滝井さん 新聞発行

2021年4月1日 05時00分 (4月1日 10時08分更新)
節目の20号を手に笑顔を見せる滝井元之さん=穴水町梶で

節目の20号を手に笑顔を見せる滝井元之さん=穴水町梶で

能登半島地震に原点「伝え続けたい」

 穴水町ボランティア連絡協議会会長の滝井元之さん(76)=同町梶=がつくる手書き新聞「紡ぐ」が一日、創刊一年を迎えた。町民の地域への願いや意見、要望をつないでいくという思いで発行し、同日付で節目の二十号。滝井さんは今後も広く町民から意見を募り、高齢化や過疎化が進む町について「みんなで考え、知恵を出し合いたい」と願う。 (森本尚平)
 滝井さんは二〇〇九年、能登半島地震で被災した町民に季節の話題や全国の災害、ボランティアの現状などの情報を届けるため「『あした塾』だより」を発行。昨年三月まで十二年間にわたって月一回発行し、被災者に手渡ししてきた。
 「みんなで町のことを考える別の新聞を発行したい」と「あした塾」だよりにひと区切り付け、紡ぐを創刊。昨年七月までは月二回、今は主に月一回のペースで発行している。A4判の表裏一枚で、主な内容は、町の課題や町議の活動内容、町民からの提案など。滝井さんは「町の人の思いを受け止めて紙面で紹介する。時に批判的な内容になることもあるが『町を良くしたい』という思いがある」と話す。
 「住民でもなかなか知らないところを再認識してほしい」と、「穴水再発見」と題して町の知られざる名所や魅力ある景観も紹介。季節の話題も盛り込み、読みやすいよう工夫も凝らす。
 ほとんどが手書きのため、書き間違うと一苦労。四回ほど書き直したこともあるといい、「二、三分読んで捨ててもらってもいい。ただ何か一つでも印象に残ることがあれば」と笑う。
 当初の百八十部から、今では三百二十部に増えた。回覧している地域もあり、実際はより多くの町民が目を通している。一年を通じて寄付の申し入れもあり、寄付金は一年間で延べ五十五人から計約四十二万円に上った。希望者へ郵送で届けており、切手や封筒を寄付する人もいるという。町外から届けてほしいとの声もあり「発行するうちに、思っていた以上に受け入れてもらえ、協力していただいている」と感謝する。
 節目の二十号には、今年で発生から十四年を迎えた能登半島地震の話題が載った。手書き新聞の形は違えど、震災の記憶は今後も継続して伝えていく。「何度も口にしているが、被災者は忘れられるのが一番つらい。大変な経験をした自分たちだからこそ伝え続けていきたい」と力を込めた。

関連キーワード

PR情報