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SNS全盛時代に…「お願いがあります」中日・大野雄はなぜファンとの接点に“手記”を選んだのか 異例の依頼の裏側

2021年3月31日 11時10分

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中日―巨人 7回表を終え、サムアップポーズでベンチに戻る大野雄

中日―巨人 7回表を終え、サムアップポーズでベンチに戻る大野雄

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇30日 中日3―3巨人(バンテリンドームナゴヤ)
 7回に代打を送られる直前、大野雄は右肘に防具をつけ、ベンチ前でキャッチボールをしていた。すでに112球。シーズン初登板としては十分な投球数だったが、走者が出なければ彼は続投するつもりだったのだ。
 この試合に懸ける思いは手記を読んでほしい。僕が伝えるのは、その裏側だ。普通、選手や監督の手記を掲載するときは、新聞社から依頼する。ところが今回は大野雄から「お願いがあります」と言ってきた。その理由を読者に知ってもらいたい。彼には強く印象に残っている手記がある。
 「マエケンがメジャーに行ったときの手記なんですよ…」。2016年、同学年の前田健太が海を渡った。ところが、メディカルチェックで不安が見つかったため、ドジャースとの8年の大型契約は極めて異例の内容となった。基本給は低額に抑えられ、一定年数を満たせば選手がFA権を得るオプトアウト条項も、トレード拒否権もない。あまりにも前田不利の契約に、選手会が問題視したほどだ。しかし、大野雄が読んだ前田の手記には「絶対に1年間、200イニング投げる」と強い決意がつづられていた。
 「マエケンの思いが伝わったんですよね。他の選手の優勝時の手記もそうですが、考えていることが紙面だと読んで伝わるので」
 周囲の見方と本人の思いは時として重ならない。記者としてはじくじたる思いもあるが、こんなとき今のアスリートはSNSで発信する。しかし「ほとんど更新せずにほったらかし」と笑う大野雄は、紙面をファン(読者)との接点に選んだ。
 「(コロナ禍で)キャンプにも来られなかった中で、開幕2カード目になったこと、FAで残ったこと、今年への思い…。ジャイアンツを倒さなきゃ『その先へ』はないことはファンも選手もわかっている。だからこのタイミングがいいんじゃないかと。勝っていればよかったんですけどね」
 追いついてもドローはドロー。勝ちではない。だけど言葉からも、そして幻に終わった8回の続投からも、エースの決意は十分に伝わった。

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