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【石川】公舎見学 知事後援会のみ 5年間 県、利用記録作らず 

2021年3月31日 05時00分 (3月31日 10時16分更新)
谷本知事が5年前から寝泊まりしていない知事公舎。1926年建築のしゃれた洋館で、木立の中に三角屋根が目をひく=金沢市広坂で、本社ヘリ「まなづる」から(泉竜太郎撮影)

谷本知事が5年前から寝泊まりしていない知事公舎。1926年建築のしゃれた洋館で、木立の中に三角屋根が目をひく=金沢市広坂で、本社ヘリ「まなづる」から(泉竜太郎撮影)

懇親会問題「私物化」批判も


 石川県知事公舎(金沢市広坂)を谷本正憲知事が自身の後援会に見学させ、懇親会を開いていた問題で、公舎の見学や利用を他の多人数の団体に認めた例は、県が過去五年間で確認できないことが分かった。知事は「従来から申し込みがあれば秘書課で判断し、見学できる。いろんな方が来られるのを拒む形にはなっていない」と説明していた。実態と食い違い、後援会は特例扱いだった可能性がある。 (辻渕智之)
 県秘書課は、谷本知事が生活の拠点を私邸に移した二〇一六年以降で、見学や利用を認めた例は、ほかに確認できなかったと本紙の取材に回答した。「歴代課長、課長補佐に聞き取りをした」と述べた。一方で、谷本知事は他の団体からも秘書課を通して受け付けて小規模の訪問を公舎で受けたことがあると話した。
 公舎は県有施設だが、県は利用状況について公的な記録を残していない。見学や利用の申し込み自体も「受けた記憶のある職員はいなかった」という。
 県は公舎を「本来、知事の住居」として一般の見学や利用を制限している。一方、一九二六年建築の歴史ある洋館で正面から見ると木立の奥に三角屋根が目を引く。知事が寝泊まりしていない現状から、県民には公開を求める声もある。
 県議会で公舎の有効活用を求めてきた紐野義昭県議(自民)は「大正ロマンを感じられる建物で見学したいという人は私の周囲にも多い。しかし、見学できると県が積極的に広報しているとは聞いたこともない。知事が私物化しているとみられても仕方ない」と批判する。財政面から公舎廃止を提案する川裕一郎県議(WILL石川)も「公舎の必要性を示す実績がなく、利用した証拠となる記録がないのも問題だ」と話す。
 知事の後援会「正委会(せいいかい)」によると、公舎での懇親会は一五、一六、一八、一九年の秋に各一回開かれ、知事夫妻と会員らが軽食付きで歓談した。一八年は七十七人、一九年は八十四人が参加した。知事は「後援会が見学したいというので始まった。見学という形であればそれなりに意味がある。交流会まで進んだのは行き過ぎの面もあって、反省しなければいけない部分がある」と釈明していた。

維持管理 5年で1億2000万円余

他県は廃止や 貸し出し活用


 公舎には知事が五年前から寝泊まりしなくなった今も「谷本正憲」の表札が門に出ている。
 県によれば、現在は知事が休日の個人客応接や職員との打ち合わせに使っている。来客の多い正月三が日を除けば、利用は年二十〜三十回ほど。来客名や利用状況の公的な記録はなく、常駐する嘱託職員の個人的な手帳のメモやカレンダーの印から確認したという。
 災害時に知事が初動対応できる端末や衛星電話を備えているが、五年間で使用実績はない。常駐する嘱託職員らの人件費や老朽化に対する修繕費などの維持管理には五年間で計一億二千万円余かかっている。
 全国的には知事が入居せず「空き家状態」となった公舎については、廃止したり、別の使い道で活用したりする例が目立つ。
 福井県は維持費などを考慮して廃止し、昨秋に土地建物を売却した。島根県は二〇一九年から文化芸術活動での利用に貸し出し、利用申請書類を公的な記録として保管している。

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