本文へ移動

ベトナム人犯罪が倍増 コロナ禍で生活苦

2021年3月31日 05時00分 (3月31日 05時03分更新)
スマートフォンで技能実習生の扱いや求人情報を調べながら「どうにかして借金を返さなければ帰れない」と話すベトナム人男性=県西部で

スマートフォンで技能実習生の扱いや求人情報を調べながら「どうにかして借金を返さなければ帰れない」と話すベトナム人男性=県西部で

  • スマートフォンで技能実習生の扱いや求人情報を調べながら「どうにかして借金を返さなければ帰れない」と話すベトナム人男性=県西部で
 県内でベトナム人による犯罪が増えている。二〇二〇年の検挙者数は前年比五人増の九十六人で、一一年の五十一人からほぼ倍増。国籍別でも一九年にブラジルを抜いて二年連続最多となった。背景とみられるのが技能実習生の急増と、コロナ禍での生活苦。仕事を失った技能実習生は「罪を犯す人はごく一部。ただ、それだけ生活が追い詰められている」と訴える。 (五十幡将之)
 県警によると、昨年検挙された外国人は三百三十四人。約三割をベトナムが占め、次いでブラジルが六十八人、中国が五十八人。県内人口(昨年六月時点)は、ブラジルが三万一千人、フィリピンが一万七千人で、ベトナムは一万二千人。
 目立つのが窃盗(万引)だ。二〇年に窃盗で検挙されたベトナム人は前年比十一人増の三十三人と過去五年で最多に。特にドラッグストアを狙った組織的な大量万引が相次いでいる。
 県警は昨年十一月、本部と全署に組織窃盗捜査班を設置。ドラッグストアの巡回や未然捜査にも注力し、逮捕にもつながっている。
 捜査関係者は背景に、ベトナム人技能実習生がコロナ禍で仕事を失ったり帰国できなくなったりして、生活苦に陥っている可能性を指摘する。県内のベトナム人は一一年の約二千人から十年で約六倍に増えた。
 ただ、取り巻く環境は厳しく、外国人技能実習機構によると、コロナの影響で解雇されるなどした外国人技能実習生は全国で約六千二百人(二月時点)に上る。
 県警が昨年摘発した組織的な大量万引グループ五つは全てベトナム人で、うち四つが技能実習生。昨年に万引で検挙されたベトナム人の動機は、組織的窃盗などの「職業的犯罪」が百五十八件、「生活困窮」が五十一件、「債務返済」が三十四件、その他が十二件。大半が経済的な理由だった。

◆「解雇、寮を追われた」 情報、収入の支援求め

 「ベトナム人はみな真面目でよく働くが、私のように職を失う人が増えている。生活苦から突発的に罪を犯したり、借金から悪いグループとつながってしまうことはあるかもしれない」
 同郷者による犯罪の増加に、県西部に住むベトナム人技能実習生の三十代の男性は顔を曇らせた。
 男性は一昨年、技能実習生として来日。実習先の県西部の企業で仕事を始めた。コロナの感染が拡大すると残業が減り、職場の活気も失われていった。それでも任される仕事が増えて仕事にやりがいを感じていた二月、突然、解雇を言い渡され、その日のうちに寮を出るように言われた。
 実習先などからは帰国するように迫られたが、帰国しても来日のために借金したお金を返済できる見込みはない。「送り出してくれた両親を思うと、決してこのままでは帰れない」
 田舎の貧しい農家出身。技能実習生として日本に行けば渡航費用などの借金百万円を返済した上、三年で二百万〜二百五十万円が貯金でき、身に付けた技術を生かしてベトナムで活躍できると説明された。
 現在は管理団体が用意した寮で暮らすが、貯金は減り不安は増す。以前は家族とのテレビ電話が楽しみだった。だが、今は現状を聞かれたり説明したりするのがつらく、連絡も取らなくなった。
 外国人技能実習機構によると、本来、実習先や管理団体は実習生の就労を支援する必要があり、実習生が希望すれば、管理団体は実習先を探す義務がある。また、本人の同意なく強制的に帰国させることは技能実習法違反にあたるという。
 しかし、管理団体が次の実習先を探している様子はない。かつての実習先からは「今、帰らないと、これ以上の支援はできない」と言われ、県外のベトナム人支援団体などにも助けを求めている。一日四〜五時間は求人情報を調べ、採用に有利になるよう日本語の勉強も続ける。
 ただ、今後、どうすればよいのか。ビザの扱いはどうなるのか。「全く情報がない。日本政府や自治体は技能実習生に仕事探しや収入面で支援してほしい」

関連キーワード

おすすめ情報