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<ユースク> ケア児だって保育園に行きたい

2021年3月29日 05時00分 (3月29日 10時22分更新)

 次男が医療的ケア児です。気管切開をし、日常的にたんの吸引が必要なため、保育園に入園できません。吸引と声が出ないこと以外は健常児と同じで、住んでいる岐阜県恵那市に受け入れ要望を出して3年がたちました。いまだに前進しない実情を知ってほしい。=恵那市、救急救命士渡辺大樹さん(38)

 ユースク取材班に医療的ケア児の父親から切実な取材依頼が寄せられた。ケア児は「新しい障害児」とも呼ばれており、通学や通園に看護師の付き添いが必要な場合があるため、人材確保などを理由に、教育現場での受け入れが進んでいない。東海テレビ「ニュースOne」とともに、受け入れの現状と課題を探った。(石井宏樹)
「新しい障害児」
 

母優さん(右)と手をつなぎ、飛び石を渡る渡辺剛樹ちゃん。後方は父大樹さんと兄力樹ちゃん=岐阜県恵那市で

「せーの、ぴょん」。一家で訪れた自宅近くの公園で、剛樹(ごうき)ちゃん(3)は母親の優(ゆう)さん(37)の掛け声に合わせて、川の飛び石の上を渡って遊んでいた。公園を走り回る姿は、遠目には普通の子どもと変わらない。しかし、近づいてみると、喉に呼吸用の器具があるのが分かった。
 剛樹ちゃんは喉の声門の下が狭く、呼吸に問題があることが生後2カ月の時に判明。すぐに喉を切開し、気道を確保する「気管カニューレ」という器具を装着した。寝ている時以外は30分から1時間に1回、器具や喉にたまるたんを吸引する必要がある。
条件は「親同伴」
 夫婦は「成長の刺激になる」と、看護師だった優さんの1年間の育休終了後に、保育園への入園を希望。医療的ケアが必要なため、手術直後から岐阜県恵那市と相談を続けた。
 しかし、市側は「準備ができていない」と、話し合いは前進しなかった。結局、優さんは育休を使い切り、退職せざるを得ない状況に。その後、今年4月からの入園内定が出たが、新型コロナウイルスの感染拡大で受け入れにあたってのたん吸引の保育士研修や看護師の配置が間に合わず、延期となった。ただ、取材を進めたところ、途中で市は「親同伴」の条件付きで4月からの登園を認めた。
 

定期的に吸引器でたんを吸ってもらう渡辺剛樹ちゃん(左)=岐阜県恵那市で

 優さんは「自分で動けるし、言葉の意味も理解できるのに…。入園の壁は本当に高い」とため息。「自宅を購入したばかりで退職し、家計にひびいている」とも話す。
 市はケア児が1学年に1、2人いることを把握しているが、2020年度までに保育園や学校で医療的ケア児を受け入れた実績はゼロ。市子育て支援課は取材に「以前より増えている印象」と回答し、支援の必要性は感じているという。
 剛樹ちゃんのケースでは、保育士が研修を受ければ看護師を保育園に配置する必要はないが、市幼児教育課の熊谷春彦課長は「園側の不安もあり、初めての受け入れは安全第一でやりたい」と説明。看護師が不可欠と考えるが人材不足で確保に至っておらず、保育士の研修もまだ実施できていないことから、条件が親同伴となった。
 医療的ケア児を支援する社会福祉法人「むそう」(愛知県半田市)の戸枝陽基(ひろもと)理事長(52)は「ケア児は従来の身体的、知的障害児と異なる新しい障害児。対応する福祉サービスや受け入れの前例がないために断られ、本人と家族が孤立してしまう」と問題点を指摘。「知的障害がなければ、ケアしながら普通学級に通わせるのが国際的に標準的な考え方。子ども同士のコミュニケーションの中で成長する機会を担保すべきだ」と対応を求める。
環境づくり前進
 国は現在、病院や福祉、教育の現場をつなぐ「医療的ケア児等コーディネーター」の養成と配置を進めている。これまで接点がなかった現場がコーディネーターを介して情報を共有し、一人一人の子どもの成長に必要な支援を提供する。超党派の国会議員による支援法立法の動きもあり、環境づくりは前進しつつある。
 戸枝理事長は「ケア児に必要なのは、既成概念を超えてオーダーメード型の支援をつくる地域の力だ。それを磨くことは、障害児だけでなく、すべての人が幸せに暮らせる地域に変わるきっかけになる」と話している。

 医療的ケア児 人工呼吸器や胃ろうなどを使い、日常的にたんの吸引や経管栄養などの医療的なケアを必要とする児童。園児や生徒も含まれる。医療の発達で救命される子どもが増えたのに合わせて年々増加傾向にあり、全国に2万人ほどいるとされる。2015年度の「障害者支援状況等調査研究事業報告書」によると、64.6%が寝たきりだが、23.7%は一人立ちができ、子どもによって必要なケアは異なる。

 今回、紹介した内容は29日午後4時49分から放送の東海テレビ「ニュースOne」でも報道されます。番組を視聴できない地域の皆さんは同日午後8時以降、番組ホームページの特設コーナーで関連動画をご覧いただけます。


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