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<月刊ジブリパーク> パークの設計図(6) もののけの里エリア

2021年3月28日 15時14分 (3月28日 15時50分更新)

「もののけの里」の整備イメージ。タタリ神、物見やぐらなど「もののけ姫」劇中に登場する物の造形物も描かれている (c)1997 Studio Ghibli・ND


 宮崎吾朗監督(54)にジブリパークの構想、理念を聞くインタビュー。今回からは、先行三エリアのおよそ一年後の開業を予定する二エリアについて語ってもらいます。まずは、映画「もののけ姫」の世界をイメージした「もののけの里エリア」。かつて、建設コンサルタント会社で公園緑地、都市緑化などを担当した吾朗監督ならではの話も聞きました。 (聞き手・古谷祥子、谷村卓哉、花井康子)

「もののけの里」の整備イメージ(着色部分) (c)Studio Ghibli


「タタラ場」を体験型施設に 

 もともと、「里山開拓団」と呼ばれる人たちが、自主的に里山づくりを進める区域「あいちサトラボ」がある場所です。サトラボには田んぼ、ため池、果樹園などと農家的な拠点施設があり、将来、拡張予定だった隣接の用地がパークの一部として整備されることになりました。ここが他の四エリアとは異なる点で、有料ゾーンにはなりにくいのかなと思っています。
 「もののけ姫」の主人公アシタカが住んでいた、縄文的文化を残す「エミシの村」がイメージの一つ。キビやヒエ、アワといったものを育てる段々畑があるような山間地の風景です。エミシの村を襲ったタタリ神と、正体であるイノシシの造形物も設定に近い大きさで造って置く予定です。

「もののけ姫」冒頭で、主人公アシタカに襲いかかるタタリ神 (c)1997 Studio Ghibli・ND


 同じく、劇中に登場するたたら製鉄民の共同体「タタラ場」をイメージした建物は体験学習施設に。吹き抜けで平土間があり、さまざまな形で自由に使える空間です。隣には炭焼き窯も。プログラムの検討はこれからですが、愛知県は瀬戸、常滑を抱える焼き物の国なので陶芸体験は意識しています。いずれにせよ、丸一日とか数日かかる作業は難しいかもしれません。ただ、本格的にもできるように設備は整えたい。屋根は芝生で全面緑化します。

「タタラ場」の完成イメージCG 


 また、サツキとメイの家の隣にあった解体済みの旧管理棟は、ここに移築して休憩施設にします。愛・地球博(愛知万博)で建てた当時から、うどん屋かきしめん屋にしたら面白いなと思っていたので、そういうイメージで使ったらどうだろう。あんみつでもいいですが、おなかいっぱい食べるというより、茶店のような一休みできる場になればいい。こちらの屋根は、木の薄板を重ねる日本古来のこけらぶきにします。

植栽が課題

 このエリアでは、植栽基盤をいかに良好に整えるかも大きな課題です。建物を建てるより断然、難しい。というのも、僕らが住む関東の土壌と箱根から西の土壌は、びっくりするほど性格が異なるんです。いわゆる真砂土で、砂礫(されき)分が多く粘性がある。愛・地球博記念公園の周辺を見ても、水はけが悪く固まりやすい土が少なくないようです。
 そんな場所にただ穴を掘って木を植えても、中に水がたまってしまい、酸素不足で根が腐ってしまう。たとえ息を吹き返してもなかなか元気に育ちません。せっかく植えた木が軒並み枯れるようではかわいそうだし、すてきな場所になり得ない。木が生き生き育つ環境づくりに努めたいです。

里山の景観が広がる「あいちサトラボ」。左の一帯に「もののけの里エリア」が整備される=愛知県長久手市の愛・地球博記念公園で

 みやざき・ごろう 1967年、東京都生まれ。アニメ映画「ゲド戦記」「コクリコ坂から」などを監督。ジブリパークの整備に力を注ぐ。よく見るテレビ番組のジャンルは、ドキュメンタリー。「ほぼそればっかり。ドラマなんかはあまり見ないですね」

太秦映画村に昨年オープン「映画図書室」 ジブリ貴重資料、人気

 京都市の東映太秦映画村内に昨年オープンした「映画図書室」は、日本映画の台本やポスターなど貴重な資料を無料で公開している。映画会社の枠を超えて集められた収蔵品は、往年の「仁義なき戦い」シリーズや巨匠の名作のほか、スタジオジブリが製作したアニメの関係資料にも関心が寄せられている。

名作映画の台本や資料が保管されている=京都市右京区で

 収蔵庫には、一九二七(昭和二)年公開の日活無声映画「忠次旅日記」を最古に、一万五千点の台本がところ狭しと並ぶ。製作時は極秘扱いで表紙に「G作品」と書かれたゴジラ一作目や、溝口健二監督「雨月物語」をはじめとする名作などを保管。現代までたびたび時代劇で描かれる宮本武蔵の作品だけでも、昭和の時代に東宝、東映、松竹、日活、大映の五社がそれぞれ手掛けたものが現存する。
 それらのページをめくり、筋書きを読むと「書いてあるから面白いことがあれば、書いてないから気づくこともある」と、担当する東映の石川一郎さん(56)。例えば夏目雅子さんが主演した「鬼龍院花子の生涯」には、作品の代名詞となったせりふ「なめたらいかんぜよ!」がなく、現場で追加された演出だと推測できるという。

トトロの鳴き声、台本に手書き

 ジブリ作品は「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「火垂るの墓」「千と千尋の神隠し」などの関係資料を収蔵。「トトロ」の台本には、手書きで「ファ〜ッ」「グフーッ」といったトトロの鳴き声が記されている。せりふを覚えている熱烈なファンが閲覧し、本編との違いを見つけて喜んでいたそうだ。

映画図書室が所蔵するジブリ作品の台本や資料=京都市右京区で

 隣接する撮影所などから資料が集まりやすく、東映はこれまで倉庫に保管してきたが「入れっぱなしではもったいない」と、図書室を整備。国内映画史がわかる文化財としての価値を考え、デジタル化も始めた。現在、台本のほか作品本編や約十万枚に上る写真、ポスターにプレスシート、書籍七千点などを備える。
 台本や作品本編を閲覧可能で、脚本家志望者から研究者、学生まで幅広い人たちが訪れる。台本の中には追加の絵コンテが挟まれていたり、役者本人が使っていたと思われる物もあったり、石川さんは「われわれにとっては仕事道具だが、現場で実際に使った物を読みたいと思われるのだろう」と反響を受け止める。
 開室時間は平日午前十時〜午後四時。一日一組限定で、ホームページから予約する。資料の撮影は一部可能。(問)映画図書室=電075(864)7718 (古谷祥子)
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