”逆転女王”射程の紀平梨花「一番いい状態でフリー本番を」【フィギュア世界選手権】
2021年3月25日 21時03分
◇24日 フィギュアスケート世界選手権(スウェーデン・ストックホルム)第1日 女子SP
女子SPは初優勝を目指す紀平梨花(18)=トヨタ自動車=が79・08点で2位発進した。坂本花織(20)=シスメックス=は6位、宮原知子(22)=関大=は16位。ロシア勢はアンナ・シェルバコワ(16)が自己ベストを更新する81・00点で首位発進し、エリザベータ・トゥクタミシェワ(24)が78・86点の3位で続いた一方、アレクサンドラ・トルソワ(16)は12位と出遅れた。ペアSPは三浦璃来(19)、木原龍一(28)組が64・37点の8位と健闘した。◇
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表情を変えず握り締めた右拳。一度うなずいてから向かったリンク中央でようやく見せた笑顔。演技直後の紀平は充実感や喜びよりも、任務を全うした使命感のようなものをにじませた。「全てのジャンプが決まってよかった。ステップもふらつくことなく、スピンも集中してできた」
冒頭の3回転半から全ジャンプを着氷し、スピンとステップは最高のレベル4を並べた。首位とは1・92点差。「4回転も入れられるぐらいの位置に立てたかな。しっかり調整し、一番いい状態にしてフリー本番を迎えたい」。SPのミスが響き、優勝を期待されながら4位だった2年前の世界選手権からの成長を示し、逆転可能な位置につけた。
そんな好演技とは裏腹に、心には葛藤を抱えていた。コロナ禍の今季は、今大会が昨年の全日本選手権以来2度目の試合。「また、なくなっちゃうかも」と開催への不安もちらつき、「スケートがあまり好きじゃない」と思い詰めた時期もあった。
「モチベーションを保つのが大変だった。(成果を)出す場がないので、練習を積んでもなかなか達成感を得ることがなく、楽しくできないことが多かった。それでも、諦めずにこの日までやってこられてよかった」
気づいたのは、いつも温かく見守ってくれるファンや指導者、そして家族の存在だ。「私の成功した演技を見て、喜んでくれる人がたくさんいることが一番のモチベーション」。応援してくれる人たちの笑顔が見たい―。その一心で乗り越えてきた、この一年の集大成をフリーで披露する。結果はいつも後からついてくるものだ。
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