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71、在宅ワーク1年 働く喜び感じながら

2021年3月23日 05時00分 (3月23日 10時41分更新)
 実家を離れ、一人暮らしを再開して、一年がたちました。
 本来なら、もっとたくさんのお友達に遊びにきていただいたり、仕事で全国を飛び回ったりするつもりだったのですが、コロナ禍で公私ともに自粛を余儀なくされ、残念な思いをしました。体調面でも、分子標的薬、抗がん剤、放射線の治療入院など、この一年は目まぐるしく治療に取り組み、副作用や体のさまざまな症状と向き合ってきました。
 ただ、思ったようにいかないことも多かった分、こうして仕事をできるありがたさを強く感じた一年でした。
 嚥下(えんげ)障害の方たちも使いやすいスプーンやフォークを通信販売する猫舌堂(大阪市)は、社長の柴田敦巨(あつこ)さんが患者仲間で、私のためにいろんな配慮をしてくれました。在庫管理や商品配送の拠点を岐阜市近郊の私のアパートにしたのも、私が名古屋市内の愛知県がんセンターへ通院しながら働けるようにするため。「両立」というより、治療を優先しながらの在宅ワークです。体調が悪いときは無理をせず、回復してから夜間や週末に集中的に作業することもできます。仕事ができること自体が喜びだし、お客さまのことを思い浮かべながら「喜んでいただけるといいな」と思いを込めて包装したりするのは、本当に幸せな時間です。
 一人暮らしなので、体調が悪いときは気兼ねもなく休めるし、ご飯を好きな時に食べられるのもありがたいことです。

大好きな新幹線を見に駅へ来ることも=岐阜羽島駅で


 以前、私が岐阜県高山市のハローワークに通っていたころは、働きたい思いはあっても、治療や体調面で条件に合うところが見つかりそうになくて、実家暮らしが長引きました。医療の進歩で、治療しながら長く働けるがん患者が増える中、社会の配慮も進んでほしいと心から思います。
 実は、私は新幹線が大好きで、今は乗れる機会は少ないけれど、アパートの近くに高架があって、通過車両に出合えるとテンションが上がります。中でも、線路や架線の状態を点検する車両「ドクターイエロー」に遭遇すると歓声を上げるのですが、その喜びを近所の親戚の小学生に興奮気味に話したら「月曜の午後にいつも通っているよ」とクールに返事されて、まだまだ新参者だと自覚しました。

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