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【石川】元実習生 新天地で笑顔 コロナ禍 ベトナム帰れず

2021年3月23日 05時00分 (3月23日 10時00分更新)
笑顔で配膳するグェン・ゴック・ラムさん=石川県小松市土居原町で

笑顔で配膳するグェン・ゴック・ラムさん=石川県小松市土居原町で

  • 笑顔で配膳するグェン・ゴック・ラムさん=石川県小松市土居原町で
  • 手早く食器を片付けるマ・バン・タックさん=石川県小松市土居原町で

小松「人助け」中華料理店雇う

 コロナ禍で実習期間を終えても帰国できずにいる元技能実習生のベトナム人男性二人を、石川県小松市内の老舗中華料理店「餃子(ぎょーざ)菜館 勝ちゃん」が受け入れ、接客業務に就いてもらっている。飲食店も、観光客の減少や会食自粛の影響で苦境が続くが、高輪宗己社長(55)は「笑顔になる人を一人でも増やしたい」。慣れない仕事に懸命な二人を見守る。(井上京佳、写真も)
 「いらっしゃいませ」。元実習生のマ・バン・タックさん(29)、グェン・ゴック・ラムさん(24)の声が店に響く。今月四日から働き始め、テーブルの片付けや食器洗い、料理提供までをこなす。日本語は不慣れだが、お客の注文も受ける。
 二人は二〇一七年に来日し三年間、富山県砺波市の鉄筋組立工場で施工技能を学んだ。帰国は実習を終えた昨年八月の予定だった。コロナ禍で、母国へ向け飛ぶ航空便は極めて少ない状況で、帰国困難に。出入国在留管理庁による特別措置で在留資格の期間を延ばし、同じ工場で二月まで働いた。
 高輪さんが二人を雇ったのは、貿易や技能実習生らの人材派遣を手掛ける民間の「栄日国際交流事業協同組合」(富山市)の李淑栄(りとしえ)代表理事からの相談がきっかけ。「組合に帰国が難しいベトナム人が六十人いる。何とか従来の会社で雇用を継続してもらっているが、経済の悪化で仕事が薄くなることもある」と打ち明けられた。高輪さんの店は客入りがコロナ禍前の三〜四割程度に落ち込むが、「人助けになるなら」と受け入れを決めた。
 李さんによると、六十人のうち職種を替えたり在留資格を替えたりできた人はタックさん、ラムさん含め七、八人ほど。残りは従来の実習先で働いている。農業や飲食業へ職種の変更を希望する人も多いが、うまくマッチングが進まない。
 飲食業の仕事を希望した二人は、建設業から外食産業に就労する在留資格に切り替え、今月から勝ちゃんのギョーザ製造工場にある寮で生活を始めた。
 仕事内容は変わったが、タックさんは「日本人のサービスを学びたい。仕事は面白い」、ラムさんも「アルバイトの大学生らとのおしゃべりが楽しい。日本語を教えてくれる」と話す。
 接客を手ほどきする高輪さんの妻律子さん(56)は「二人とも謙虚で、仕事を覚えようと意欲的。私たちも学ぶことがあり、これからが楽しみ」と期待している。

【メモ】帰国困難者の在留資格=出入国在留管理庁は昨年3月、コロナ禍で実習終了後も帰国困難な人に、救済措置の在留資格「特定活動」を認め、実習と同じ職種での継続就労ができるようにした。昨年9月には他職種での就労も許可。最長6カ月で、延長できる。在留期間中に日本語などの試験を受け、在留資格を「特定技能」に切り替え、さらに技能を学ぶこともできる。同庁によると、実習後、帰国困難になっている外国人は3月12日時点で約3万8800人。うち7割以上がベトナム人。


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