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リニア 湧水戻し案、12〜20年見通し 県は疑問視

2021年3月23日 05時00分 (3月23日 05時02分更新)
 リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、JR東海は二十二日、工事で山梨県側へ流出する湧水全量を静岡側に戻して補うには、十二〜二十年かかるとの見通しを明らかにした。また、長野県側に流出する湧水量も初めて示し、山梨と同様に長野側からポンプアップして、静岡側に戻す考えを示した。
 同日開かれた国土交通省の第十回有識者会議後の会見でJRが説明。宇野護副社長は「山梨側から戻す方策は実行可能だ」と強調した。
 JRによると、山梨県境で先進坑を掘削中に、標高が低い山梨側に静岡側から流出が予測される湧水は三百万〜五百万トン。JRは前回の会議でこの対策として、山梨側で出た湧水をポンプアップして戻す案を示した。ただ、静岡県は「山梨側には戻せる湧水がないのでは」と疑問視している。
 第十回会議の中でJRは「県外に流出した量と同量の水を、時間をかけて戻す」と説明。終了後の記者会見で担当者は、山梨での掘削の実績上、湧水量は毎分トンネル一キロメートルあたり〇・四五トンとの数字を明らかにした。年間約二十四万トンで、一キロメートル分しか戻せなければ、三百万トン戻すには十二年以上、五百万トンなら二十年以上かかるという。「今後、湧水量が変わることも考えられる」とも述べた。
 また、JRは会議で初めて、長野県側に流出する湧水量はJRの解析方法で二十万トン、静岡市の解析方法で二万トンと説明した。
 難波喬司副知事は記者団に「影響は不確実性が高い。水を戻すのが(回避には)一番分かりやすい」と指摘。ただ、十二〜二十年かかるとの見通しには、「環境への影響回避のために戻したということにはならない」と述べた。 (大杉はるか)

◆中間報告素案 初の提示

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事に関する国土交通省の第十回有識者会議で、同省は昨年四月の第一回以降の議論をまとめた「中間報告」の素案を初めて示した。今後、委員の意見を踏まえ、とりまとめる。
 大井川の水資源への影響についてJR東海が示した分析や見解を認めた内容が多く、難波喬司副知事は「この内容でまとめましょうということではないだろう」とくぎを刺した。
 素案は「トンネル掘削による中下流域の地下水への影響」や「県外流出量の河川流量への影響評価」「水資源へのリスクへの対応について」など七章で構成する。湧水の県外への流出については「掘削工事の一定期間中は山梨側へトンネル湧水が流出し、(静岡県が求めている)全量戻しとはならない。解析結果では、流出した場合も、下流側では河川流量は維持される傾向にあった」などと記した。
 会議事務局の江口秀二大臣官房技術審議官は会議後、中間報告がまとまる時期は「スケジュールありきではない」と明言を避けた上で、まとまれば、県に示す方針を明らかにした。難波副知事は中間報告が出れば、県専門部会でJRも出席の上、議論する方針を示した。 (大杉はるか)

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