本文へ移動

風力発電計画県内で続々 既存の15倍 アセス手続き214基 

2021年3月17日 05時00分 (3月17日 09時54分更新)

三国風力発電所の4基の風車=坂井市三国町黒目で(ドローンから)

 自然や景観影響懸念も 

 東日本大震災から十年。東京電力福島第一原発事故を受けて政府は再生可能エネルギーの主力電源化を進め、県内でも再エネの導入が進んでいる。特に目立つのは、風力発電所の整備計画だ。今月一日現在で、工事前に必要な環境アセスメント(環境影響評価)の手続きに入っているのは十一事業の計二百十四基。既存の十五倍の数で、再エネへの転換が期待される一方、大型開発による自然や景観への影響を懸念する声も上がっている。 (藤共生)

 事業主体はほとんどが大都市圏に本社を置き、全国で発電事業を展開する十事業者。あわら、福井、大野、越前、敦賀の五市と池田、南越前、美浜の三町に計画している。場所は山頂部や丘陵地、洋上だ。
 県内の既存の風力発電事業は、あわら市北潟の「あわら北潟風力発電所」の十基と、坂井市三国町の「三国風力発電所」の四基。いずれも沿岸部にある。
 十一事業を合わせた最大出力は百十五万キロワット余り。現在、県内で唯一稼働している大飯原発4号機(おおい町)の百十八万キロワットとほぼ同じで、県内にある風力発電所二カ所の合計出力の四十倍以上に当たる。
 この十一事業は、環境アセスの配慮書提出時期が二〇一八年八月〜二〇年八月の二年間に集中している。背景の一つには、再エネ由来の電気を電力会社が一定価格で買い取るよう義務付けた「固定価格買取制度(FIT制度)」の見直しがある。
 FIT制度見直し
 FIT制度は福島第一原発事故を教訓に、再エネの拡大を狙って一二年に創設された。これが起爆剤になり、国内では主に太陽光発電の導入が進んできた。制度は見直しが検討されており、業者が認可手続きを急ぐ一因になったとみられる。

 化石燃料の割合を減らし、再エネに転換していくことは地球規模の課題。しかし大型の風力発電所開発は自然や景観などに与える影響が大きい。太陽光に比べ、導入が進まない要因の一つでもある。
 県は環境アセス制度に基づいて、専門家を招き、十一事業の環境審議会を行っている。ある事業では委員から懸念の声が上がった。「住民が日常的に眺める景観が変化する。心理的抑圧は文字にしづらく、『しっかりと住民の意見聴取を』と書くだけで十分か」「日本海側の代表的ブナ林が計画地に含まれる。できれば残してほしい。ブナ林を切ると、クマが人里に下りていく可能性もある」
 この制度において、県や市町に事業の認可権限はない。大型開発は与える影響が大きく、自治体にとっても単純に税収増を喜べるわけではなさそうだ。一方で風の吹き方や地元同意の有無によって、計画段階で縮小したり中止したりすることもある。今後の事業の推移が注目される。

 環境アセスメント制度 発電所などの開発事業の前に、事業者が環境への影響を調査・予測することを義務付ける。事業者は計画の概要を示す配慮書、環境調査の内容を示す方法書、調査結果をまとめた準備書を順番に作成し公開する。市町の首長と知事は計画に意見することができ、事業者がそれを反映する。計画は最終的に国が認可し、事業者が着工する。


関連キーワード

おすすめ情報

福井発の新着

記事一覧