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三島・交通死亡事故 地裁沼津支部が被告に猶予判決

2021年3月16日 05時00分 (3月16日 05時01分更新)
望んだ実刑判決とならず、涙ながらに会見する仲沢勝美さんの(左から)長男勇梨さん、次女マリンさん、長女杏梨さんと高橋正人弁護士=15日、沼津市で

望んだ実刑判決とならず、涙ながらに会見する仲沢勝美さんの(左から)長男勇梨さん、次女マリンさん、長女杏梨さんと高橋正人弁護士=15日、沼津市で

 赤信号を無視してミニバイクの男性を死なせたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪に問われた沼津市大岡、無職渡辺さつき被告(48)の判決公判が十五日、静岡地裁沼津支部であった。菱田泰信裁判長は禁錮三年、執行猶予五年(求刑禁錮三年)の判決を言い渡した。
 裁判長は、被告が赤信号を見落としたのではなく、青信号と見間違えた上、衝突直前まで被害者に気付かなかったのは「典型的な見逃しとは異なり、過失は相当大きい」と指摘。捜査段階で一度は認めた赤での進入を初公判で否認し「青と見間違えた」と繰り返す被告は「真摯(しんし)に反省していない」とした。
 一方で、免許取り消し処分を受け、遺族には適正な保険金の支払いが見込まれることなどから「実刑相当とは言えない」とした。
 判決によると、渡辺被告は二〇一九年一月二十二日午後六時十三分ごろ、三島市萩の交差点に赤信号を無視して進入。信号に従い右から来た同市徳倉、会社員仲沢勝美さん=当時(50)=のミニバイクと衝突し、仲沢さんを大動脈損傷で死亡させた。
 渡辺被告は事故直後、仲沢さんが無理やり右折したと主張。遺族は会員制交流サイト(SNS)や新聞折り込みで目撃者を捜し、「乗用車が赤だった」などの有力証言を得て、渡辺被告の主張を覆した。三島署は事故から九日後、渡辺被告を逮捕した。

◆実刑望んだ遺族 悔しくて納得いかない

 閉廷後の静岡地裁沼津支部に遺族の泣き声が響いた。被告は事故直後、仲沢さんが無理やり右折したと主張。遺族は会員制交流サイト(SNS)や新聞折り込みで目撃者を捜し、主張を覆した。だが判決は実刑ではなかった。長女杏梨さん(28)は会見で「悔しくて納得いかない。ようやくここまで来たのに。気持ちをくんでもらえなかった」と目を腫らした。
 長男勇梨さん(26)も「私たちの活動を見て頑張ろうと思った(交通事故の)被害者にも悪い例になってしまったように思う」と語った。
 ただ高橋正人弁護士は「遺族はよくここまで頑張った。被告の主張をひっくり返したのは、三島署でも検察でもない」とたたえた。一方、三島署が捜査で被告の携帯電話を押収し運転中の操作の有無などを確認しなかったことに「これをしないのは全国で三島署だけ」と批判。裁判所に対しても「遺族の頑張りで公判が実現したことを見逃している」と怒りをにじませた。
 杏梨さんは「署は事故直後、被告の言い分をうのみにし、父を加害者と決め付けた。遺族が声を上げ、ひっくり返した。声を上げなかったらどうなっていましたかと問いたい」と話した。遺族は静岡地検沼津支部に「控訴してほしい」と伝えた。 (渡辺陽太郎)

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