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「最強の補欠」松田瑞生 常識外の月1500キロ走り込みで見えたマラソン日本新【名古屋ウィメンズ】

2021年3月14日 19時16分

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表彰式でメダルを手にポーズをとる優勝した松田瑞生

表彰式でメダルを手にポーズをとる優勝した松田瑞生

 ◇14日 名古屋ウィメンズマラソン(中日新聞社など主催、バンテリンドームナゴヤ発着の42・195キロ)
 東京五輪の代表から漏れた悔しさを晴らした! 昨春まで続いた東京五輪の代表争いで最後に逆転され、補欠に回った松田瑞生(25)=ダイハツ=が五輪選考後の初レースに2時間21分51秒で優勝。強風に苦しめられながらも23キロ過ぎから独走し、昨年1月の大阪国際女子マラソンに続く優勝を果たした。日本歴代7位の自己ベストには4秒及ばなかったものの、大会史上5位の好タイムで強さを見せ付けた。
 独走でフィニッシュテープに飛び込む松田に、笑顔と悔し涙が交錯した。東京五輪の代表争いで惜敗。それでも補欠という立場を受け入れ、国内初の2時間20分切りという高い志を持って挑んだ再起レース。「『自分超え』を目標にしていた。ふがいない走りだった」。抱きとめたダイハツ・山中美和子監督(42)の胸元で泣き崩れた。
 ライバルは眼中になかった。最大風速9.6メートルの強風が吹き、松田は「向かい風に心が折れそうになった」と語る。最悪の条件下でも集団の前方でわが道を貫き、気付けば一人旅。優勝タイムは昨年、大阪で記録した自己ベストからわずか4秒遅れで「後半は粘って粘り切れた」。強さが際立つ圧勝劇だった。
 五輪切符を逃してからの1年、当初は「レースに出るのが怖い」と山中監督に漏らした。「(現役を)続けなければよかった」と何度も思った。ショックを乗り越え未来へと踏み出したとき、松田は貪欲に変化を求めた。その象徴が、好記録を続々と生み出す「厚底シューズ」の導入だ。
 これまで外反母趾(ぼし)の足の形状に合わせた特注品の薄底タイプに固執してきたが、「記録を出すためには必要」と決断。とはいえ、初めて実戦で履いた昨秋の全日本実業団女子駅伝では高反発の厚底に対応しきれず、腰も痛めた。
 「とにかく走り込んで足をつくる。自分からシューズに合わせないと」と松田。与えられた練習メニューでは飽き足らず、月間1500キロにも達するような常識外の走り込みを重ねた。結果的に、強風にもぶれない土台が出来上がった。
 悔しさも同居する優勝で、かえってモチベーションは倍増した。今後はトラックの1万メートルで東京五輪代表を狙う選択肢もあるが、「今は1万よりもマラソンで世界と戦いたい。補欠として五輪の準備をして、その後日本記録に挑戦したい」と松田は言う。
 早ければ、今秋の海外レースで2時間19分12秒(2005年・野口みずき)の日本記録更新を目指す。「最強の補欠」の異名を誇りに変えて、マラソン道を突き詰めていく。

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