トヨタ若手社員 稲武の糸取り座繰り機を復元
2021年3月12日 05時00分 (3月12日 05時01分更新)
豊田市稲武地区で昔ながらの生糸の糸取りに使う「足踏み式座繰り機」が、技能五輪に出場したトヨタ自動車の若手技術者らの手で復元され、十日に地元で関係者に披露された。一九八九年の製作以降は復元できる人はいなかったが、地元企業の技術力が伝統文化の継承にひと役買った。 (小野開栄)
足踏み式座繰り機は、足元のペダルを踏むと滑車が回転し、湯に浸した複数の蚕の繭から糸を一本により合わせて巻き付ける。
八九年製の座繰り機は、明治時代の機械を地元の大工が再現した。平成や令和の皇位継承の重要祭祀(さいし)「大嘗祭(だいじょうさい)」の際、地元の市民団体「いなぶまゆっこクラブ」がこれを使って糸取りをし、絹織りの生地「繪服(にぎたえ)」を調進した。だが、製作経験者がいなくなり、座繰り機の劣化が問題となっていた。
昨年末、市役所稲武支所や同クラブなどでつくる「稲武地区養蚕・製糸文化伝承事業実行委員会」が、トヨタ自動車と情報交換した場で、座繰り機の復元問題が話題に上った。そこで地域貢献の一環として、同社から技能五輪に出場した技術者が復元に協力することになった。
昨年の技能五輪で金賞に輝いた水月理央さん(20)=...
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