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伸び盛りの26歳・佐藤早也伽の存在能力は『未知数』…故郷の被災地へ勇気届ける

2021年3月10日 06時00分

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調整する佐藤早也伽

調整する佐藤早也伽

◇名古屋ウィメンズマラソン連載「次世代日の丸バトル」第2回 佐藤早也伽(積水化学)
 名古屋ウィメンズマラソン(中日新聞社など主催)が、14日にバンテリンドームナゴヤ発着で行われる。今夏の東京五輪マラソン女子代表は決定済みだが、今大会には2016年リオデジャネイロ五輪代表や、東京で補欠に回った実力者、そして24年パリ五輪を狙う次代のホープと、多士済々の顔ぶれが集結。42・195キロに懸ける有力選手の思いを紹介する。
 2011年3月。当時高校生だった佐藤は、宮城県内で東日本大震災に遭遇した。幸い内陸部の実家は大きな被害を免れたが、インフラは完全にまひした。「水道とか電気が止まってる期間が1週間くらい続いた。電車も動かなかったので、学校にも通えなかった」。多くの被災者と同じように、当たり前の日常を奪われた。
 幼いころは運動が苦手。中学では美術部が第一希望だった。「お母さんに『送り迎えしてあげるから陸上部に入ったら』と言われて。家から学校まで8キロ。送ってもらえるならいいかなと」。やや不純な動機が、競技生活の始まりになった。
 常盤木学園高では全国高校総体などの出場経験はないが、陸上一筋に打ち込んだ。震災で学校に通えない間は自宅の周囲を1人黙々と走った。あれから、10年がたつ。
 2020年12月の日本選手権1万メートル。佐藤は捨て身の走りで名を上げた。積水化学のチームメート・新谷仁美からの頼みで序盤は先頭に立ってペースメーク。「怖さもあったけど、自分にとっても経験になると思って引き受けた」。結果的に自己記録を30秒近くも縮め、3位に食い込んだ。
 驚異的な日本新をたたき出した新谷からはレース後、佐藤お気に入りの癒やしキャラ「うさまる」グッズをプレゼントされた。「新谷さんを見ていると、陸上へ懸ける気持ちが伝わってくる」。長距離界を引っ張る新谷の存在も、佐藤を刺激している。
 昨年はマラソンでもトラックでも走るたびに快記録を出した。伸び盛りの26歳を、積水化学の野口英盛監督(41)は「どこまでいくか読めない」と評する。今大会では2時間23分を目標に定めているが、潜在能力ははるか上。佐藤は「地元にも勇気を届けられるような走りを」と故郷へ届くような快走を誓っている。
 ▼佐藤早也伽(さとう・さやか)1994(平成6)年5月27日生まれ、宮城県大崎市出身の26歳。156センチ。宮城・常盤木学園高、東洋大出。積水化学所属。大学までは目立った成績を残せなかったが、実業団で急成長。2019年全日本実業団ハーフマラソンを1時間9分27秒で制し、20年には初マラソンの名古屋で2時間23分27秒の好記録をマーク。日本選手権1万メートルでは31分30秒19の自己ベストで3位に入った。

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