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走れる千里浜 激細り 今冬 高波で大量の砂が流出

2021年3月7日 05時00分 (3月8日 11時44分更新)

浸食が進み、一部で砂浜がほとんど見えなくなった千里浜なぎさドライブウェイ=2月28日、石川県宝達志水町ののと里山海道志雄パーキングエリア付近で、本社ヘリ「まなづる」から(田中利弥撮影)


【8年前】波打ち際に多くの車が並ぶ千里浜なぎさドライブウェイ=2013年5月、石川県宝達志水町で、本社へり「まなづる」から(泉竜太郎撮影)


消失の危機 石川県が応急対策へ

 日本で唯一、車やバイクで波打ち際を走れる「千里浜なぎさドライブウェイ」(全長約八キロ、石川県羽咋市−宝達志水町)。国内外から人気を集める貴重な観光資源だが、高波の影響で砂浜が浸食され、一部では数百メートルにわたり砂浜が見えなくなっている。地元自治体は“消失”に危機感を募らせており、県は波が落ち着く今月中旬以降にも応急対策に乗り出す方針だ。(戎野文菜、押川恵理子)
 浸食が特に深刻なのは、宝達志水町柳瀬の「のと里山海道」志雄パーキングエリア付近。二月末には砂浜が姿を消したようにも見えたが、県の担当者や、海岸工学が専門の由比(ゆひ)政年・金沢大教授は「消滅したわけではなく、あくまで波がかぶっている状態」と指摘する。
 見えなくなった要因について、県は一月上旬に押し寄せた高波を挙げ、「大量の砂が沖に流された」と説明。由比教授も「例年に比べ、五メートル級以上の波が十二月から多かった」と話す。
 例年、冬場の高波などで百日前後が通行止めになる。昨年も、新型コロナウイルス感染防止のための三十三日間を除き、八十六日あった。三月に入りドライブ日和もあるが、今冬の浸食で一部区間は通行止めのまま。再開時期も未定だ。
 由比教授によると、砂浜は一般的に冬に狭まるが、夏には広がる。冬の大きな波で、沖合数百メートルに流された砂が、夏場の穏やかな波で少しずつ岸へと押し戻されるためだ。千里浜も三月が最も狭く、九月が最も広い傾向がある。今回も徐々に戻るが、どれだけ戻るかは分からないという。
 千里浜の浸食は、いまに始まったわけではない。一九八六〜二〇〇九年の間、年間約一メートルのペースで進み、羽咋市千里浜町の千里浜レストハウス前では九四年に五十メートルあった砂浜が、一一年には三十五メートルに。砂防ダムや港湾の整備で手取川の河口から流れ着く砂の量が減っていることや、温暖化による海面上昇が影響しているとみられている。
 県は一一年、専門家や地元関係者による「千里浜再生プロジェクト」を結成した。一二年から一八年まで毎年、約一億円かけて二万立方メートル分の砂を千里浜の沖合七百メートル付近に投入。一九年度は砂が大幅に減ったため、陸上に直接五千立方メートル分の砂を投入した。
 また、砂浜を削る波の力を弱めるコンクリート製の人工リーフ(岩礁)も整備。今浜インターチェンジ近くの沖合百五十メートルには一四年までに約九億円かけ、人工リーフ(幅二十五メートル、高さ二メートル前後、長さ百五十メートル)を二基沈めた。羽咋地区にも約三億円かけて幅十メートルの人工リーフを一基設け、もう一基を準備している。
 これらの取り組みをもってしても、一九年までの十年間で回復できた砂浜は平均で約二メートル。千里浜特有のきめ細かい砂の確保も課題だ。ただ、何もしなければ貴重な資源は失われる。由比教授は「特効薬はない。砂の投入、人工リーフを基本に、地道にできることを続けるしかない」と話している。

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