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<ユースク> わが子入院したとき…24時間付きっきり

2021年3月8日 05時00分 (3月8日 05時01分更新)
企業から寄せられた食品などを応援パックとして届けるスタッフら=キープ・ママ・スマイリング提供

企業から寄せられた食品などを応援パックとして届けるスタッフら=キープ・ママ・スマイリング提供

  • 企業から寄せられた食品などを応援パックとして届けるスタッフら=キープ・ママ・スマイリング提供
  • 応援パックの中身。常温でも食べやすい缶詰や大人向けの化粧品などが含まれる=キープ・ママ・スマイリング提供
 「小児病棟への入院時、保護者による24時間の付き添いが必須と説明を受けました。一時的にそばを離れる際でも必ず別の付き添いと代わるようにとのことでした。実際に体験してみると想像以上にとても大変なものでした」(愛知県内、30代女性)
 わが子が長期入院となったら…。心配でずっとそばにいてあげたいという保護者も多いことでしょう。仕事やほかの家族の面倒などで現実的には厳しいはずですが、24時間体制の付き添いを求められた経緯について投稿者に尋ねました。 (佐々木香理)

病院側は「必須」と説明

 「子の体の心配はもちろん、自分の体もぼろぼろに疲れ切って途方に暮れてしまいました」。投稿を寄せた30代女性は、昨春、就学前の子が県内の病院に入院となり、数週間の付き添いを経験した。
 女性は病院側から「保護者の24時間の付き添いが必須」と言われたが、提出を求められたのは保護者側から付き添いを願い、許可を求める書類。記入の前にすでに病院側のはんこが押されていたという。
 女性は夫と子どもの3人暮らし。夫は仕事を休めず、子のいる病室のベッド横で一日を過ごした。「部屋を離れるわけにもいかず、院内の食堂を利用することもできなかった」。食事はコンビニで調達し、簡易ベッドで寝泊まりする。「子どもに寄り添いたい気持ちは当然あるが仕事との両立は無理。短時間でもいいので負担を減らしてほしい」と話し、保育士のサポートなど支援面の改善を訴える。

制度に潜んだ矛盾

 この女性のような患者負担による付き添い看護は1994年の健康保険法改正に伴う新看護体系の導入で原則、廃止されている。ただ、治療や入院について理解が難しい子どもや知的障害者などは家族の付き添いが認められている。その場合も病院側が強制することはできないが、家族側が付き添いを希望するよう促すことは可能で、制度上のグレーゾーンといえる。
 女性の子が入院していた病院の担当者は、付き添いは強制ではないとしつつ「親との分離が子の不利益になる場合はお願いしている」と必要性を説明。入院前には家庭環境なども確認しているというが「コミュニケーション不足だったかもしれない。家庭の要望、気持ちにさらに配慮したい」と話す。現在、看護師らが担当の病室付近で作業する機会を増やし、患者家族とコミュニケーションを取りやすい環境づくりに取り組んでいるという。
 小児病棟の付き添いはどうあるべきか。県内の別の病院の看護責任者は「現状の人員は、付き添い不要という看護体制ではない。病院単位ではなく全国規模で取り組むべき課題だ」と指摘した。

コロナ禍 家族にさらなる負担

 新型コロナウイルスの感染拡大は小児病棟で付き添う家族に新たな負担をもたらしている。
 子どもが入院中の家庭支援に取り組むNPO法人「キープ・ママ・スマイリング」(東京都中央区)の光原ゆき理事長によると、多くの病院で付き添いの交代や面会が制限され、付き添いの家族が孤立するケースが増えている。「宣言が解除されても制限が緩まることはなさそうだ」といい、オンライン環境の重要性が高まっている。
 キープ・ママではオンライン面会に役立ててもらおうと、昨年11月から全国40の病院や家庭に対してスマートフォンを寄付している。企業の協力を受け、通話料や通信費を期間限定で無料とし、入院で離れ離れの家族をつないでいる。
 利用した九州地方の女性(40)は4歳の娘が名古屋で入院中。「外のコインランドリーに洗濯に行く間、私に電話ができるようになった。好きな時に父親や弟にもテレビ電話をしている。感染防止のため、治療の合間に自宅に帰る事もできず、コミュニケーションはテレビ電話だけ。遠方の私たちにとって本当にありがたい」とアンケートに回答した。

食品に服 生活支援

 付き添う家族への支援として食品や大人用衣類、化粧品などをまとめた生活応援パックの提供も昨年10月にスタート。昨年末時点で全国各地の500家族に届け、今後も継続する方針だ。光原理事長は「本当は家族が付き添うかどうか環境を選べるのが理想。コロナ禍で付き添い状況は悪化しており、困っている家庭に届けていきたい」と話していた。

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