本文へ移動

Femtech(フェムテック)「Female」×「Technology」 タブーを直視

2021年2月28日 05時00分 (2月28日 13時05分更新)
 近年、女性(Female)ならではの体の悩みを技術(Technology)で解決するサービスや製品「フェムテック(Femtech)」が広がっている。中でも、日常で話題にしにくい「生理」に着目した商品が増えてきた。女性の社会進出が進んだ今、生理のこと、女性の体のことをもっと知ってほしいー。フェムテックの背景にある「脱タブー」の動きを追った。(戎野文菜、堀井聡子)

【みんなの悩み 体験談】
10~30代女性に聞いてみました

*ピルを使って生理日をずらせると聞いたけど、インターネットで調べてもどれが正しい情報か分からなくて、使えずにいる。ピルのこと、生理のこと、きちんと知る機会がほしい。(金沢市・21歳・大学生)
*生理が始まる一週間前ごろから、あくびが止まらなくなるほどの眠気と、間食が多くなったり、ご飯の量が増えたりするのが悩み。眠気や食欲を感じたら、生理日予測アプリで生理が近いことを確認しています。(小松市・24歳・小学校教諭)
*生理休暇を取りたいけど、紙申請なので上司と対面する必要があり、気まずくて言いづらい。オンライン申請になってほしい。職場の人に自分が生理だと伝えた時の「あぁ、今この人はそういう期間なんだ」と思われるあの雰囲気が苦手。(白山市・30歳・公務員)
*高校生の時、生理中の腹痛がひどすぎて救急搬送された。ある男性救急隊員が生理痛だと気付き、「いつでも呼んでいいですからね」と言葉を掛けてくれました。生理痛を軽く捉えていない感じがうれしかったですね。(金沢市・19歳・大学生)
*10代のときは生理不順でいつ来るか分からず、朝起きたら布団に血が付いていることも。汚れちゃうから5枚組の安い下着で我慢していました。(金沢市・21歳・大学生)

◇生理の悩み 向き合うための製品
▽自分を知り、自分が変わることが大事

専門店「フェルマータ」社員 カマーゴ李亜さん(26)
 「生理に関する話やナプキンなどの道具はタブー視され、毎月起きることなのに『恥ずかしい』『話しちゃいけない』と思われがち」。フェムテック製品の専門店「フェルマータ」(東京)の社員、カマーゴ李亜(りあ)さん(26)は言う。そんな女性が我慢してきた課題をフェムテックで解決しようとしている。
 フェムテックという造語を生み出したのは、ドイツで生理日管理アプリを開発した女性起業家。言葉をつくることで、女性特有の問題を解決する製品の市場をつくる狙いがあった。以来生理だけでなく、更年期やメンタルヘルスなど幅広い分野に及ぶ言葉になり、日本でも二、三年前から少しずつ広がっている。
 フェルマータでは、吸水ショーツや月経カップなど生理に関するものから、産後の尿漏れを解消するため骨盤底筋を鍛える器具、生理痛治療などに使われる低用量ピルといった薬の飲み忘れを、アプリと連携して防止する装置などを扱う。オンラインストアと東京・乃木坂にある店舗で販売している。
 会社が目指すのは、誰もが生きやすい社会。カマーゴさんは「女性に限る議論ではなく、性別を問わずに考えて」と提案する。
 例に挙げるのは生理休暇。生理でなくても病気や体の悩みがある人はいる。「『今日は体がつらい』と思う日に生理休暇という特別な名前でなく、誰でも自由に使える休暇があれば働きやすくなる」
 「社会を変えようと考えるのではなく、自分をよく知り、自分が変わることが大事」とカマーゴさん。まずは自分の体と向き合い、今まで無視したり、不安だけどタブー視したりしてきたことを探り、改善するために何ができるか考える。「自分の生活から良くしていけば、徐々に社会は変わっていくと思う」

▽生理回数 昔と比較し 10倍
▽経済的負担 年に6828億円

 日本女性の生理事情は、昔と今で大きく変わった。金沢医科大病院女性総合医療センターの赤沢純代(すみよ)センター長は「生涯で生理が来る回数は、明治ごろは50回くらい。今は食生活の欧米化で栄養状態が良くなり初潮を迎えるのが早まったほか、妊娠や出産が減って生理が止まることが少なくなり、500回に増えた」と言う。
 生理の回数が増えると子宮や卵巣に負担がかかり、子宮内膜症や卵巣がんになる危険も高まる。「生理や病気の知識が少なく、『生理は痛いもの』と思っている女性たちがいる。10代から痛みを我慢し続け、30代で子宮内膜症になる人もいるので、早く病院を受診して」と呼び掛ける。
 女性たちが生理に悩まされることは、社会全体の損失にもつながっている。バイエル薬品(大阪市)が2013年、女性約1万9000人を対象に、生理症状に伴う通院費用や仕事の作業時間への影響などを調べた結果、社会経済的負担が年間6828億円にも達するという推計が出た。
 赤沢センター長は「企業で生理のサポートが進めば男性や他の人も体調不良を言いやすくなる。男性から生理の女性へのフォローがあれば生産性は上がる」と話した。

~~あやなのこれやな。~~

 生理1日目は座っているのがつらく、体を丸めてしゃがみ込みたいときがある。男性から「生理痛?大丈夫?」と聞くとセクハラになりかねない。女性が働きやすい環境は女性がつくるしかない。気合を入れて取材を始めた。でも、カマーゴさんに強調されたのは「男女関係なく、一人一人が今より良くなる方法を考えること」。肩の力は抜けた。
 フェムテックが問い直すのは、今までの当たり前。身の回りのちょっとした改善の積み重ねがみんなの生きやすい社会につながる。千里の道も一歩から。気楽に歩き始めたい。(戎野文菜)

【生理】医学用語では月経という。子宮の内側の内膜組織がはがれて出血が起こる。子宮内膜を押し出すために分泌される物質(プロスタグランジン)が多いと、下腹部痛や腰痛の原因になる。周期は約25〜38日で、期間は3〜7日間程度。生理前のいら立ちや気分の落ち込みは月経前症候群(PMS)と呼ばれる。


関連キーワード

PR情報