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【石川】思想・信条 問いかける 過去、居場所求め入信

2021年2月28日 05時00分 (2月28日 10時59分更新)
宗教と社会の関係について語る仲正昌樹教授=金沢大角間キャンパスで

宗教と社会の関係について語る仲正昌樹教授=金沢大角間キャンパスで

  • 宗教と社会の関係について語る仲正昌樹教授=金沢大角間キャンパスで
  • 仲正教授が刊行した「統一教会と私」

仲正・金大教授「統一教会と私」刊行

 哲学をわかりやすく読み解く著作が多い金沢大の仲正昌樹教授(58)=政治哲学史=が、青年時代に入信した宗教団体での体験をつづった「統一教会と私」(論創社)を刊行した。劣等感や不安感から教団に居場所を求めた経験を赤裸々に明かし、宗教を必要とする人を色眼鏡で見ず、排除しない社会の大切さを訴えている。(小佐野慧太)
 <自分よりはるかに優秀そうに見える学生が多く、このまま勉強しつづけても落ちこぼれるかもしれない。大学を退学して地元に帰ることもできない。そうやって自分の居場所について、いろいろと妄想しはじめたときに、原研が私に声を掛けた>(本書より)
 東京大に入った一九八一年、韓国に本部を置く宗教団体「世界基督教統一神霊協会」(統一教会)系の学生組織「原理研究会」(原研)から勧誘されセミナーに出るように。卒業後も教団系の新聞社で働いたが、組織の在り方や教えに疑問を抱き九二年に脱会した。
 教団は八〇年代、物品販売の手法が霊感商法だと批判を浴びるように。八七年設立の全国霊感商法対策弁護士連絡会(東京都)は現在も教団名を明かさない勧誘などに注意を呼びかけ、電話相談に対応している。
 仲正さんも「違法な霊感商法は問題だ」と語る。「今の私にとって、統一教会はかなり不自由で、重苦しい存在」とも。半面、入信していた十一年半を「人付き合いが苦手だった私にとって最低限の作法を身に付けることができ、救われた部分もある」と明かす。
 自身が試験や仕事で受けた偏見や差別もつづった。「日本では誰かが何かの宗教に入っていると、その人を色眼鏡で見る人が多い」と語り「思想・信条の自由」への理解のなさを嘆く。
 「自分の思想をはっきり持っている人なら、自分の中に『なかなか他人に分かってもらえないもの』があり、それと同様に他人の考えもコントロールできないことが分かると思う」
 本書は二〇〇九年刊行の「Nの肖像」(双風舎)に加筆・修正した。十二年がたち、ネット右翼を例に「若い人が妙なものを信じやすくなっている」と話す。
 仲正さんは宗教を「『精神的な絆』を求める人たちの共同体」と定義。「インターネット上のつながりには、共同体の要素が薄い。若い人は、急にはしごを外され、仲間が周りにいなくなることを覚悟しなければいけない」と警鐘を鳴らす。

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