本文へ移動

”本家”藤川球児さんも絶賛…弾道測定器が証明した中日・木下雄の「火の玉ストレート」

2021年2月26日 10時51分

このエントリーをはてなブックマークに追加
広島との練習試合に登板した木下雄=23日

広島との練習試合に登板した木下雄=23日

 ドラゴンズが北谷キャンプに持ち込んでいる高性能弾道測定器「ラプソード」を活用したデータ企画。最終回は5年目右腕の木下雄介(27)を取り上げる。スピンの効いた150キロを超える速球が木下雄の最大の武器。このストレートを最大限生かすための課題を探ってみた。
 「火の球ストレート」を武器に、一世を風靡(ふうび)したのが、元阪神投手の藤川球児さん。藤川さんの武器は「わかっていても打てないストレート」だ。ホップ率(無回転のボールが自然落下する数値を基準値にして、それがボールの回転によってどれだけ落ちにくくなっているのかを数値化したもの)が高く、ボールの回転軸も地面に対してほぼ垂直。真上に浮き上がるようなストレートで、打者をなで切りにした。
 その藤川さんが「自分のストレートに一番近いボールを投げる。12球団ナンバーワンのリリーフになれる」と絶賛したのが、木下雄だ。
 ラプソードで計測した木下雄のストレートの平均速度は149キロ。ボールが指から離れて、ベースの上を通過するまでの回転数は2396回転。回転数が多ければ多いほど、ホップ率が高くなり、打者にはボールが浮き上がってくるように見える。木下雄の回転数はNPB平均の2078回転を大きく上回る。回転軸も地面に対してほぼ垂直で、これも藤川さんと同じ。
 ホップ率を見てみよう。木下雄のストレートのホップ率は56センチ。リーグ平均が44センチだから、いかに木下雄の球質がいいかがわかる。この56センチは、全盛期を過ぎているとはいえ、2018年~20年の藤川さんの平均ホップ率をも上回っている。
 昨年の木下雄は18試合に登板し、17イニング2/3を投げて防御率4・08。0勝0敗1セーブという成績だ。これだけのストレートを持っている投手にしては、実に平凡。一方で奪った三振は24個。1試合に換算すると12・23個にもなる。空振りが取れる投手という片りんは見せていたのだ。
 ここまで紹介してきたのは、非凡な面の木下雄。負の部分も実にわかりやすいのが、この投手の特徴。昨年の四球率が6・11。1試合に換算して6個から7個の四球を出すのだ。これでは首脳陣には信頼されない。荒れる球自体は悪いことではないが、せめてストライクゾーンの範囲内で暴れてくれなくては意味がない。
 さらにもう1つ、課題がある。スライダーの質が落ちるのだ。このキャンプでのブルペンでも、ストレートとフォークボールは抜群にいいのだが、スライダーがまったく安定しない。投げるたびに変化量が変わる。案の定、23日の広島との練習試合でも2イニング2失点と不本意な内容だった。四球こそなかったが、ボールを先行させて、ストライクを取りにいって打たれるシーンが見られた。
 木下雄が目指すのはリリーフ。幸い、球種が少なくても抑えられるポジションだ。「ハマの大魔神」と言われた横浜(現DeNA)の佐々木さんも、藤川さんも、基本的にストレートとフォークで守護神の地位を築いた。
 木下雄のなすべきことは苦手なスライダーの質を上げることではなく、ストレートを磨き、ストライクゾーンに入るだけのコントロールをつけること。
 最後に数字をもう1つ。投手のリスク管理を計る数字で「完全アウト」という指数がある。全アウトの中から、最も安全と言われる三振と、次に安全な内野フライを足して率を出したものだ。リスク上、もっとも安全にアウトが取れる指数で、木下雄は37%。NPB平均は26%で、大野ですら30・1%。35%を超える投手は両リーグを見渡してもなかなかいない。いかに安全にアウトが取れる投手なのかを証明している。=終わり
おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ