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福井・西畑 牧場で元気に 農家民宿経営の住民奮闘 

2021年2月24日 05時00分 (2月24日 09時51分更新)

 人口20人「何もしないとなくなる」

牧場でヤギの餌やりをする藤井さん。今夏にはヒツジも飼い始める予定で、牧場の拡大を目指す=福井市のたかすオハナ牧場で

 

耕作放棄地の雑草をきれいに食べ、民宿の客からも「かわいい」と人気のヤギ=福井市のたかすオハナ牧場で


住民わずか二十人。その半数以上が六十歳以上。かつては全戸が稲作農家だったが、高齢化と人口減少で離農が進み、耕作放棄地が目立つ。越前海岸沿いの国道305号から山側に入った福井市西畑町で、将来的な集落存続への危機感を募らせた住民の男性が、牧場を中心とした新たな産業で地域の活性化を目指して奮闘している。 (堂下佳鈴)
 男性は藤井省三さん(66)。体調を崩した両親の介護のため、三十代で東京から帰郷した。十部屋以上ある自宅を活用し、四年前に農産物の収穫や加工体験ができる農家民宿を開業。新型コロナウイルス禍の前までは国内外から年間四百人を超える宿泊客が訪れ「可能性を感じた」。

農地や山林に囲まれた人口20人の小さな集落=福井市西畑町で

 耕作放棄地の雑草対策として数年前にヤギを飼い始め、昨年四月には「たかすオハナ牧場」と名付けた小さな牧場を開設した。現在はヤギが四頭だが、今夏には食用にも適したサフォーク種のヒツジ五頭を新たに飼育する。
 昨年はコロナの影響で宿泊客は半減。一日一組に限定して消毒や換気を徹底するなど対策に腐心してきた。「都市部の移動自粛が解除されたら、ぜひ足を運んで自然の中でゆっくりしてほしい」と収束を願いつつ準備を進める。これまでの毛刈りや羊毛を使った編み物、工作体験をはじめ、ラム肉を提供する農家レストランの開業も計画中で、牧場一帯の観光地化を目指す。今秋にはレストランの前段階として、試験的に小さな農家カフェをオープンする予定だ。
 藤井さんは、集落に足を運んでもらうために「牧場は絶対に必要」と力を込める。地域の魅力を伝え、観光客だけでなく移住者の獲得にもつなげたいとし「牧場全体の運営を通して雇用を生み、ここで十分生活できることを地方移住を検討している人に示したい」と意気込む。
 農家民宿を足がかりに牧場、さらに農家レストランへ。小さな集落で大きな構想を描く。「何もしないとこの集落はなくなる」。藤井さんは住民にそう訴え続けてきた。熱意が伝わったのか、最近は一人、二人と理解者も出てきたという。
 夢の実現への道のりが険しいことは覚悟している。それでも「起死回生の逆転ホームランになるかもしれない。それが楽しみ」と歩みを進める。

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