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障害者も支える側に 開幕まで半年 東京パラ・ボランティア

2021年2月24日 07時28分 (2月24日 07時32分更新)

2018年の東京パラリンピックの機運醸成イベントでボランティアをする秋吉桃果さん(左)=東京都調布市で(日本財団パラリンピックサポートセンター提供)

 一年延期された東京パラリンピックは二十四日、八月の開幕まで半年となった。五輪も含め東京大会では障害のある人もボランティアに参加する試みが進むが、活動時にそれぞれの障害に合った適切な配慮やサポートが受けられない心配もある。開催自体が揺れる中、支えられる側とされがちな障害者が誰かを支える姿を見てもらうための努力が続く。その先の社会のあり方を見据えて。 (神谷円香)

ボランティア活動の説明会で経験を話す早瀬憲太郎さん=東京都港区で(日本財団ボランティアサポートセンター提供)

 「いろんな人と関わりたい。コミュニケーションのスキルを磨けたら」。あん摩マッサージやはり・きゅうの教員を育てる筑波大理療科教員養成施設の一年、秋吉桃果さん(23)=東京都文京区=は東京パラのボランティアに手を挙げ、国立競技場で案内係をする予定だ。
 生まれつきの病気で右目が見えず、左目も弱視。高校三年の時、地元熊本市の市民マラソンで、初めてボランティアを経験した。
 「参加していいのかな」と不安もあった。本番前日、割り振られたのは出場者の書類を確認しゼッケンを渡すチーム。書類の細かい文字を素早く判読するのが難しく、大きな字で見つけやすいゼッケンを渡す役割に変えてもらい、無事にボランティアを務めた。
 大会が一年延期となり、学生最後の今夏は教員採用試験もあり忙しくなるが、「一生の思い出に」と活躍の場を待つ。
 横浜市の早瀬憲太郎さん(47)、久美さん(45)夫妻はともに耳が聞こえず、聴覚障害者の五輪「デフリンピック」の自転車競技に選手として出場経験もある。聞こえない子どもを教える学習塾を開く憲太郎さんは東京五輪で、病院勤務の薬剤師の久美さんは五輪・パラ両方でのボランティアに決まった。
 二人とも東日本大震災や西日本豪雨でもボランティアに駆け付けた。ただ「障害者は助けてもらう立場という意識が社会の中にある」といい、実際に被災地の現場では適切な指示を受けられないまま簡単な作業しかできず、「主体的に関われない」とも感じた。
 東京大会の組織委員会はボランティア募集に当たり、障害者にも積極的な応募を促し「配慮・サポートが必要な方はその旨の記載を」と呼び掛けた。障害の有無を直接は問わず、必要に応じて一人一人に合った配慮・サポートをする考えで、採用された約八万人のうち何人に障害があるかは集計していない。

ボランティア活動の説明会で経験を話す久美さん=東京都港区で(日本財団ボランティアサポートセンター提供)

 ただ、物理的にバリアフリーな環境なら活動に支障がない車いすユーザーに比べ、視覚・聴覚障害者は特にコミュニケーションでサポートが必要な場合が多く、そのバリアーをなくすのは現状では難しい。大会ボランティアの研修を担う日本財団ボランティアサポートセンター(ボラサポ)の沢渡一登(さわたりかずと)事務局長(38)は、障害者を特別視しない組織委の姿勢は理解しながらも「手話通訳などコミュニケーションで準備の必要があってもなかなか理解されない。想像する力が必要で、そのヒントを研修で伝えてきた」と話す。
 ボラサポでは募集時、視聴覚障害者を対象に説明会を開催。大会延期で一年の時間の猶予ができると、希望者向けに手話講座などを開き、ボランティア同士の交流にも努めてきた。
 延期や組織委会長の交代劇でボランティアの辞退も相次いだが、早瀬さん夫妻は一過性の盛り上がりでなく、障害者も誰かを支える側に自然と立てる社会になっていくことを願う。「具体的で的確なサポートのあり方を、する側とされる側がともに認識し一緒に築いていければ」

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