<教訓をつなぐ> (3)災害弱者 地域で考え、支える
2021年2月24日 05時00分 (2月24日 05時01分更新)
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「これを家の前につるしてね」。伊勢湾を望む知多半島南部、愛知県美浜町の美浜緑苑地区。自主防災組織で活動する原真理さん(57)は今月二十日、近くに住む七十九歳の女性を訪ね、災害時に身の安全を伝えるために作った「無事です」カードの使い方を説明していた。
高台にある同地区は、近い将来起きるとされる南海トラフ巨大地震で、津波の浸水想定区域には入っていない。ただ、大地震で家屋が倒壊する恐れはあり、避難が必要になる可能性は高い。
女性は七年前に夫に先立たれ、一軒家に一人住まい。三人の子どもは、長男が上京し、次男と長女も車で一時間ほどかかる愛知県三河地方と岐阜県内でそれぞれ暮らす。
女性は神経痛がひどく、歩けないほど足が痛むこともある。指定避難場所の集会所には階段を下って行かなければならず、「避難できるか不安」と漏らす。
ただ、「いざというときは頼むね」と託されている原さんも、自分が確実に助けられるか、自信はない。そこで「顔を出してくれるだけでいい」と地域の防災訓練や行事への参加を促し、近所付き合いを増やすよう説いている。
五百余世帯の約千三百人が暮らす地区では今年に入り、自力での避難が難しい一人...
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