がんサバイバー206人 写真集     自分らしく共に生きる ラベンダーリング活動 出版   

2021年2月23日 05時00分 (2月25日 20時13分更新)
がんサバイバー(患者・経験者)がいきいきと暮らせる社会を目指す活動「ラベンダーリング」。活動から生まれた写真集「自分らしく、を生きていく。」(ハースト婦人画報社)が今月出版された。 (編集委員・安藤明夫)
自分らしく 共に生きる
 輝くような笑顔を見せているのは、がんサバイバー二百六人。二〇一七〜二〇年に東京や大阪で開いたイベント「メーキャップ&フォト」で撮影した。一人一人のコメントや動画のQRコードも添えられている。
 きっかけは六年前、電通のチーフプロデューサー、月村寛之さん(53)が、がんを発症した部下の御園生(みそのう)泰明さん(43)から相談を受けたこと。「FIGHT TOGETHER(共に闘おう)」というステッカーを作って社内で応援を始めたことから活動が広がっていった。
 顔のあざを隠すメークなど社会貢献活動をしてきた資生堂の美容チームや、同社の広告写真を多く手掛ける金沢正人さん(53)らが協力。一七年から七回にわたって展覧会を兼ねた撮影会を開いてきた。コロナ下の昨年はオンラインでのイベントにとどまったが、御園生さんの呼び掛けで出版が実現した。
 参加した三人に聞いた。ラベンダーリングから得たものとは−。

山本 翔太さん(33) =愛知県東郷町 (2017年8月撮影)

不安はいっぱい でも笑顔忘れず


 
 鼻の奥の上咽頭にがんが見つかったのは27歳の時。治療して職場復帰したけれど、1年後に背中や腰の骨に転移。落ち込んだ気持ちを抱えてラベンダーリングに参加しました。
 みんなとびっきりの笑顔でモデルを務めていました。その多くががん転移を体験された方で「一人じゃないんだ」と強く思いました。重粒子線照射の影響で顔が腫れていたのに、チームの方が「肌年齢が若いね」と褒めてくださって、うれしかったです。
 その後も発声障害、記憶障害、味覚異常などつらい症状が続き、妻と3人の子のこと、仕事のことなど不安はいっぱいですが、あの幸せな時間を忘れず、笑って過ごしていきたいと思います。

故・渡辺さゆりさん 夫の浩一さん(60) =横浜市 (2018年8月撮影)   「下を向かない」   妻の言葉を胸に


 僕は付き添いのつもりでしたが、よく分からないうちに「ご一緒にどうぞ」とメークが始まって、カメラマンの金沢さんに「もっとくっつきましょう」と乗せられて…。すべてさゆりの計略でした。自分がいなくなった後に残る1枚を考えてくれたようです。こんなに心から笑っているツーショット、他にありません。
 ステージ4の大腸がんだったさゆりは、いろんなイベントに私を連れ出して、前向きな患者さんたちの世界を教えてくれました。49歳で他界して1年半になりますが「下を向いてちゃダメ」という言葉を、今も自分の戒めとしています。そして、大好きなラベンダーリングを、もっとたくさんの人に知ってもらいたいです。

 岡本記代子さん(48) =岐阜市 (2019年8月撮影)       患者会立ち上げ   続くチャレンジ  


 資生堂の美容部員さんとメークの話で盛り上がり、撮影の時には一生分の「かわいい」を言っていただいて、周りには仲間たちの笑顔がいっぱい。夢のような時間でした。
 「今の私の姿を残したい」と応募したんです。40歳で食道と胃の大半を切除。翌年再発して食べる楽しみを失ったし、激やせして体力も落ちました。抗がん剤の副作用で動けない日もあります。でも、社会復帰を目標に頑張ってきて、ハローワークで患者さんの就労を支援する仕事に就きました。そんな自分を好きになれたから、主治医や家族にも見てほしかった。
 この会でパワーをいただいて「きよまるカフェ」という患者会を立ち上げました。これからもチャレンジを続けたいです。
 「自分らしく、を生きていく。がんとともに生きる206人の笑顔と想い」(1980円)の収益の一部は、NPO法人キャンサーネットジャパンに寄付。今後のラベンダーリングの活動などに使われる。

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