被災松使い福井から鎮魂 岩本さんモニュメント制作 来月10日の法要で飾る

2021年2月23日 05時00分 (2月23日 09時46分更新)
東日本大震災の追悼法要に向けてモニュメントを制作した岩本さん=福井市文京2で(蓮覚寺宏絵撮影)

東日本大震災の追悼法要に向けてモニュメントを制作した岩本さん=福井市文京2で(蓮覚寺宏絵撮影)

  • 東日本大震災の追悼法要に向けてモニュメントを制作した岩本さん=福井市文京2で(蓮覚寺宏絵撮影)

 福井市の美術家、岩本宇司(たかし)さん(64)が、三月十日に同市内の寺院で開かれる東日本大震災の追悼法要に向けて、モニュメントを制作した。津波に流された岩手県陸前高田市の松の木を素材に使ったもの。岩本さんは「再生のストーリーが素材の松の木から自然と生まれてきた」と語る。 (藤共生)
 追悼法要は県内の宗教者でつくる「TERRAねっと福井」が震災翌年の二〇一二(平成二十四)年から毎年開催している。昨年、法要の際にモニュメントを飾ってはどうかと僧侶の一人が発案。岩本さんに依頼した。
 岩本さんは即座に引き受けると決めた。震災のチャリティー展覧会に自らの作品を出品したこともあった。「自分はボランティアには向いてない。以前から作品を作ることで何かできたらという気持ちがあった」
 被災松を使っての制作は、僧侶からの依頼だった。岩本さんが自身にテーマとして課したのが「鎮魂のためのオブジェ」。そこから卵のような「封(ふう)」、棒状の「伸(しん)」、折れた板を組み合わせた「破(は)(波(は))」という三つの造形物が生まれた。
 およそ半年をかけて完成させた。岩本さんの創作物は作品との対話で生まれてくる。「『封』は種のイメージ。とてつもない『破』があっても、すくすく『伸』びて、次の命の『種』をはらむ。そんなストーリーが自然と生まれてきた」と語る。モニュメントは追悼法要前の三月七日から、会場となる福井市の曹洞宗通安寺に飾る。
 岩本さんは福岡県出身。結婚を機に二十五歳で福井市に移り住み、絵や彫刻、写真の作品を作ってきた。現在は県内の三つの高校と福井高専で美術の授業を受け持つ。
 間もなく震災から十年の節目を迎える。かつて一九九五年の阪神・淡路大震災で恩師を亡くした経験がある。「福井も同じような地震が昔あった。日本中どこでも起こり得ることだ」と話した。

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