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入管法改正案 人権への配慮を欠く

2021年2月23日 05時00分 (2月23日 05時01分更新)
 退去処分を拒む外国人の長期収容解消に向け、入管難民法改正案が閣議決定された。難民申請の回数を制限するなど、人権への配慮を欠いた法案だ。野党の対案も考慮した国会審議を望みたい。
 不法滞在が発覚した外国人の大半は自ら出国している。だが、退去処分を受けながらも送還を拒んでいる人びとが約三千人いる。一部は長期に収容されている。
 拒否者の多くは祖国で迫害される恐れがあったり、日本で家族と暮らす人びとだ。約三分の二は政府に難民認定を求めている。現行法では難民認定の申請をしている間は送還が停止される。
 改正案の最大の問題は、三回以上の申請に対しては原則として送還停止を認めないとした点だ。現状では却下後も繰り返し申請する人が多く、政府はこれを長期収容の原因と見なしているためだ。
 政府は申請回数に制限のある国は少なくないと説明するが、待ってほしい。日本の難民認定率は0・4%。制限があるドイツは25・9%、フランスは18・5%だ。日本の「難民鎖国」の現状が申請の繰り返しを招いてはいないか。
 認定率の低さについて、政府は欧米とは申請者の出身国が違うとも指摘する。そうだろうか。例えば、トルコ出身のクルド人は米国やカナダでは八割以上が認定されているが、日本は認めていない。このまま法改正されれば、他国の人権侵害に加担しかねない。
 改正案には退去強制の拒否に刑罰を設けたが、これも収容施設と刑務所の往復となりかねない。
 かねて国連が批判してきた司法判断抜きの収容や上限のない収容期間について、今回の改正案で触れられていないことも問題だ。
 一方、対象者に逃亡の恐れがない場合、支援者らが監理人として見守る監理措置制度が盛り込まれた。社会生活ができるというが、退去処分後は就労できず、健康保険や生活保護の資格もない。就労や逃亡には刑罰が設けられた。これでは社会生活は営めない。
 閣議決定に先立ち、野党は参院に対案を提出した。難民認定を担う独立機関の新設や収容に裁判官の許可状を必要とする点などが柱だ。改正案の国会審議では、対案も踏まえて議論すべきだ。
 不法滞在問題には歴史的な経緯がある。コロナ禍での技能実習生の困窮とも重なるが、外国人を安価な労働力と見なしてきた政策のツケだ。人権を優先し、透明性がある改正こそ必要ではないか。

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