ライブ激減 ジャズバー閉店へ 片町「リバーサイド」4月末で

2021年2月23日 05時00分 (2月23日 11時24分更新)
「金沢でジャズを根付かせるのは難しかったけれど、皆さんのおかげで何とかやってこられた」と語る篠崎文さん=金沢市片町で

「金沢でジャズを根付かせるのは難しかったけれど、皆さんのおかげで何とかやってこられた」と語る篠崎文さん=金沢市片町で

  • 「金沢でジャズを根付かせるのは難しかったけれど、皆さんのおかげで何とかやってこられた」と語る篠崎文さん=金沢市片町で
  • 2019年9月にリバーサイドで開かれたライブの様子=金沢市片町で(篠崎さん提供)

コロナ影響、悩み抜き決断

 全国のミュージシャンに親しまれてきた金沢市片町のジャズバー「リバーサイド」が、四月末で十三年間の歴史に幕を閉じる。ジャズ文化を定着させようと苦心する中、新型コロナウイルス感染拡大の影響でライブの開催や集客が難しくなり、営業継続を断念した。店主でボーカリストの篠崎文(あや)さん(41)は「この店があったからこそ、いろいろな人と出会えた。後悔はなく、晴れやかな気持ち」と話している。 (榊原大騎)
 リバーサイドは二〇〇八年に片町で開店。当初からスタッフだった篠崎さんが三年後に店を引き継ぎ、一四年八月、犀川大橋近くにある現在の場所に移転した。犀川沿いのビル七階から眺める景色は美しく、ジャズ愛好家に限らず幅広く人気を集めてきた。
 移転後は店も広くなり、ステージの充実に力を入れた。ベーシストの鈴木勲さんやデンマークの歌手シーネ・エイさんら著名ジャズミュージシャンも演奏。自らもステージに立ってきた篠崎さんは「まるで夜のニューヨークにいるような雰囲気を味わってもらいたかった」と振り返る。
 金沢にジャズ文化を根付かせ、奏者のレベルの底上げも支援しようと奮闘してきた。「学生からお年寄りまでが切磋琢磨(せっさたくま)できる店を提供したいという思いは、今でもある」。ただ、ジャズはプロとして活動するのが難しく、金沢の人口規模に限りがあることなどから、思い描いた通りに歩むのは難しかった。
 コロナ禍では客席を五十から半分に減らし、ステージと客席の間には透明なロールスクリーンを置くなどして営業。それでも、イベントの予定はめっきり減り、客足も落ち込んだ。「片町は本当に静かになったと思う」。悩み抜いた末、今年に入って閉店を決めた。
 その直後、片町地区の飲食店などに二十二日から二週間、午後九時までの営業時間短縮を要請することを県が決めた。篠崎さんはすでに演奏の予定も入れ、閉店に向けて準備していた。「なぜ今なんだと、怒りで涙が出てきた」。要請に応じないことも考えたが、感染抑制のために率先して協力しようと決断。予定しているライブは時間を前倒しして開き、予定のない日は休業する。四月までの予定は店のホームページで公開している。
 篠崎さんは今後もボーカリストとしての活動は続ける。一方、ピアノやドラム、ベースなどが置かれた店を居抜きで引き継いでくれる人も探している。「ハコを持った応援隊としての役割は終えるけれど、金沢の音楽にどう貢献できるかを考えていきたい。関わってくれた人たちが違う場所で違う表現をしてくれれば、意味があるのかなと思う」

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