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第221回 小児科病棟の記憶

2017年4月4日 15時06分 (5月27日 04時35分更新)
 名古屋大付属病院の小児科病棟での闘病体験をバネにして、名大医学部に見事に合格を果たした板倉京平さん(19)と孫思佳さん(20)の話題を、4月1日の社会面、4日の医療面で紹介しました。
合格の原動力として「忍耐力」を挙げた板倉さん、「感謝のこころ」を強調した孫さん。二人とも誠実で、意志の強さを感じさせる素敵な若者でした。2時間あまりの取材の中で、私が胸を衝かれたのは、小児科病棟で板倉さんが見せた涙でした。

匂いが呼び起こすもの

 5階にある病棟の自動ドアを開けるなり、板倉さんは「この匂い…。涙が出そう」とつぶやきました。一緒にいた母・知恵美さん(47)も深くうなずいていました。私は、他の病棟と同じような消毒の匂いしか感じなかったのですが、母子にとっては、9年前の7カ月間の入院生活を呼び起こす匂いでした。
 地元の四日市の病院から転院するなり、「絶食」の日々。腸を取り巻くがんを小さくする投薬治療の影響で、腸管が破裂する恐れがあったからです。そして、切除手術後には強い抗がん剤を6クール。吐き気、だるさでベッドから起き上がることも難しく、院内学級にもあまり行けなかった。ずっと付き添っていた知恵美...

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