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中日・柳、同じ軌道から多彩な球種…142キロでいい、平均球速があと2キロ上がれば高い回転数の持ち主の右腕は高めでも勝負できる

2021年2月20日 11時13分

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日本ハム戦で登板した柳

日本ハム戦で登板した柳

  • 日本ハム戦で登板した柳
  • 野球のトラッキングシステム
  • ブルペンに置かれた弾道測定器
◇データは知っている
 中日ドラゴンズが北谷キャンプに持ち込んでいる高性能弾道測定器「ラプソード」を活用したデータ企画。今回は開幕投手候補の一人、柳裕也投手(26)を取り上げる。豊富な持ち球を正確に投げる能力はチームナンバーワン。目指すべき投球へ、ラプソードが導く。
 チームナンバーワンの豊富な持ち球が柳の特徴だ。ストレートやシュートの速球系、カーブとチェンジアップという縦の変化球、カット、スライダーという横の変化球の6種類。しかもすべての球の再現性が高い。
 このキャンプでは、都合3回、ラプソードで柳のボールを計測した。どの球種も、ボールが指を離れてホームベース上を通過するまでの回転数、球速、ボールの回転軸など、ほぼ同じ数値を出していた。最も球数が多かったストレートを例にとると、投じた55球のうち、2288回転が1つあるだけで、残りはすべて2450回転前後。変化球もほぼ同じような数値を出している。
 これほど数値が安定している投手は、チーム内では見当たらない。強いていえば福谷が近いが、それでも柳には及ばない。プロ野球選手といえど、好不調の波はある。ラプソードも、調子のいい時だけ計測しているわけではない。だから変化球を引っ掛けたり、ストレートが抜けたりもする。それが柳にはほとんどない。いかに安定した投球ができるのかを、ラプソードが証明した。
 柳がこのキャンプで目指しているのは、速球の質のアップだという。柳の回転数2450は、NPB平均の2078回転を超え、ホップ成分の高い、いわゆる浮き上がってくるような球だ。ボールの質はもう十分にいい。残る課題は、どこに投げるか。現代野球は、いかに途中まで同じ球種のように見せかけることができるかがカギになる。成功例として挙げたいのが2月16日にあった日本ハムとの練習試合。1回無死満塁で、迎えたのが4番の中田。1―1からの3球目に外角のストレートを投じて1ボール2ストライクにし、4球目は同じ外角の同じストレートを投げてファウルにさせた。5球目は、同じコースからカットボールを投げて空振り三振に仕留めた。中田はおそらく同じ軌道を描くボールが途中で小さく曲がって逃げていったように感じたはずだ。
 全く同じ軌道(これをトラッキングデータではピッチトンネルと呼ぶ)から途中で落ちたり、曲がったりすると、打者は球種の予測がつかず、幻惑される。この同じピッチトンネルを通すのが抜群にうまいのが広島の野村祐輔投手(31)といわれている。野村の昨季のストレートの平均球速は138キロ。柳よりもむしろ遅い。しかもストレートの球質では、柳のほうがホップ成分が高いほど。それでも打者を打ち取ることができるのは、野村が投げるすべての球種が同じピッチトンネルを通ってくるから。何が来るのか予想できないボールは、球速に関係なく、打者は打ち返せない。
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