渡伊40年 余韻たたえる静物画 金沢美大出身 西田藤夫さん 金沢で初回顧展

2021年2月20日 05時00分 (2月20日 11時21分更新)

イタリアへ渡り40年となり、初めて金沢で個展を開いた西田藤夫さん=金沢市の石川県立美術館で

◇石川県立美術館

 イタリアで四十年にわたり写実的な静物画を描き続ける金沢美術工芸大出身の画家西田藤夫さん(70)の個展「静けさが形となる時−西田藤夫 イタリア四十年」が、金沢市の石川県立美術館で開かれている。金沢では初めての回顧展。「金沢美大での四年間は日本人としての文化の物差しを育んでくれた原点」と話す。
 西田さんは神戸市生まれ。美大卒業後、東京での教員生活を経て、一九八〇年、二十九歳の時にイタリアへ。ミラノのブレラ美術学校で学んだ当初は一、二年で帰国するつもりだったというが、「なんといっても芸術の国。すぐ目の前でレオナルド・ダビンチの作品が見られるのだから」と、当初はアルバイトでしのぎながら描き続けた。現在は北イタリア・コモ県を拠点に活動する。

「夕暮れ時」(2019年、油彩、キャンバス、縦60・6センチ、横72・2センチ)

 カラバッジョ初期の静物画を思わせる「静物」(八二年)から、毛糸玉をリアルに描いたシリーズの近作まで、画業をたどる三十七点が並ぶ。四十年の間にモチーフは、テーブル上の食器や箱、布などの無機物から、ドライフラワーやアネモネの花などへと変化していったが、自然光のもたらす色の階調とそれによる写実の質感を追究する姿勢は一貫している。
 西田さんが静物画に取り組んできたのは「プロデューサーになった気持ちで自分で画面の構成を考え、じっくりと落ち着いて描けるから」。二十世紀イタリアを代表する静物画家ジョルジョ・モランディの影響を感じさせる瓶が並んだ構図の「硝子の森」や、毛糸玉のシリーズの一つ「夕暮れ時」などは、ゆったりとした背景に日本的な心情がにじむ。
 どの作品にも一瞬の光を切り取ったように静止したモチーフの中に堆積していた時間と、西田さんがその光と影を描く中にも流れていただろう静かな時間の両方が感じられ、心地よい余韻をたたえている。
 会期は三月十九日まで。(松岡等)

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