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 子宮頸がんをなくすために(下) 「予防」と「副反応」の間で

2019年11月19日 02時00分 (5月27日 04時35分更新)

科学的根拠 基に議論を

 「毎年約三千人が子宮頸(けい)がんで亡くなっている。十年で三万人。すごい数の命ですよね」。四月下旬、神戸大の研究室。ワクチンに関する著作がある感染症医の岩田健太郎教授は、猛烈に怒っていた。「不作為による被害は大きいですよ」
 不作為とは積極的な行動を取らないこと。岩田教授が「不作為」と非難するのは、子宮頸がんの原因、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンを巡る国の対応だ。がんの予防効果があるとして公費で助成する定期接種とする一方、積極的に接種を呼び掛ける勧奨は控える-。こうした分かりにくさが、接種率を1%未満にまで落ち込ませたと訴える。

「HPVワクチン関連疼痛性障害」と書かれた診断書=横浜市内で(一部画像処理)

 二〇一三年四月に定期接種化されたHPVワクチンは、二カ月余りで勧奨が中止された。背景にはマスコミの報道やインターネット情報などを基に高まったワクチンへの不信感がある。
 当時、盛んに報じられたのは、接種後の体調不良、いわゆる副反応に苦しむ女性たちの声だ。全身の痛みや脱力感などの神経症状を訴えて国などに損害賠償を求める裁判の原告は、全国で百三十人を超える。しかし、岩田教授は感染症の専門医として「予防のためには、HPVワク...

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